生ゆばスープ丼、寺で温泉…「もう一つの日光」目指しドライブ(写真12枚)
駐日大使が過ごした別荘 杉材の香りに心やすらぐ
村上豊八商店を後にして、いろは坂を上り中禅寺湖畔を目指す。48の急カーブがあることから、その名が付いたという説があるいろは坂は、上り専用の第二いろは坂と、下り専用の第一いろは坂がある。「い」「ろ」「は」の表示が立つ急カーブを曲がりながら高度が上がり、標高差は約440m。今回の相棒は小さくて丸いスタイルがかわいいフィアット500c(チンクエチェントシー)。適度にアクセルを踏むだけで、ストレスを感じることなく加速し急坂を上っていった。
|
|
|
第二いろは坂を上り切ったご褒美は、 中禅寺湖の開放的な景観だ。湖畔の歌ヶ浜駐車場にクルマを置き、湖畔の歩道を歩くこと1km、静寂が漂うイタリア大使館別荘記念公園に着いた。建物は1928年にイタリア大使館の別荘として建てられ、1997年まで使われていたものだ。その後に石造りの暖炉だけを残して解体されたが、床板、建具、家具などをできる限り再利用して復元、公園として公開されている。
イタリア・ミラノの北にコモ湖という湖があり、湖畔にはヨーロッパの王室や富豪が建てた別荘が並ぶ。中禅寺湖をすぐ前にするこの別荘も、コモ湖にある別荘と似たような雰囲気を醸し出す。開放的なガラス戸を用いた広縁でくつろいだ駐日イタリア大使は、故郷のコモ湖を思い出したことだろう。
設計はアメリカ人のアントニン・レーモンド。建築家のフランク・ロイド・ライトの弟子で、帝国ホテルの建築にも関わった人物だ。ライトの日本における代表的な建造物は左右対称で、大谷石を巧みに用いている。イタリア大使館別荘も左右対称の特徴に加えて、壁や天井、柱などには杉をふんだんに使っている。“脱ライト”の意気込みが感じられるこの別荘の設計を機に、レーモンドは一流の建築家として世に知られていく。
コメント