飛行機の主翼、端が立っているのはなぜ? 重くなるのに燃費改善のカラクリとは
飛行機が避けて通れない翼端渦とは?
「翼端渦」とは、文字通り翼の先端部分の渦のことで、ここで「渦」を巻くのは空気です。
そもそも飛行機は、主翼の上と下の気圧差で空中に浮くものです。飛行中の飛行機の、主翼の上の気圧は低く、下が高いため、上方へと持ち上げられる力、すなわち揚力が発生し、宙に浮くことができます。
このとき、翼の付け根から先端手前までは、空気が翼の上と下へきれいに分かれて後方へと流れますが、翼の先端部分では、気圧の高い下側から上に向かって空気が引っ張られ流れてしまいます。翼は前方へと移動しているので、引っ張られる方向は斜め前方になり、こうして主翼の先端で空気の渦が尾を引くことになります。これが「翼端渦」です。
翼端渦は飛行機の飛行には不要なもので、もちろん渦を作る(=空気を動かす、すなわち空気抵抗が発生する)ぶん、エネルギーが無駄に消費されていることになり、そしてこのエネルギーは、もとをただせば飛行機の燃料ということになります。そのほかの詳細な説明は省きますが、つまりそうした翼端渦をおさえられれば省エネになる、というのが、ウィングレットの発想です。先端を上に向けることで、翼端で空気が主翼の上に回り込みづらくなり、結果翼端渦の発生を低減できるというわけです。
割けて
じゃなくて
避けて
では?
主翼端に燃料タンクをつけているのは、他にP2V系列の一部(P2V-5以降?自衛隊使用のP2V-7、P-2J含め)、F9F系列、F-89などといった、概ね50年代から60年代にかけて原設計ないし改良が行われた機体に多い様です。F-104の場合は翼端の燃料タンクの代わりにミサイルも搭載可能でした(ただし、航続距離はがた落ちとなるため燃料タンクとするのがほとんど)。
T-33の原型のP-80(後のF-80)も、1945年頃の初飛行では翼端燃料タンクなしでした。ただし民間機では翼端燃料タンクはあまり流行らなかったようです(煩雑さ、重量増加を嫌ったためか)
記事では日本国内でウイングレットの装着は、ANA(全日空)が2008(平成20)年から翌年にかけ、ボーイング767-300ERに順次装着していったのが皮切りだとされていますが、1990年にJAL(日本航空)に導入されたボーイング747-400に既にウイングレットが装着されています。
一方ANAのボーイング767-300ERは時期が違います。2010年導入のJA619Aから2012年導入のJA627Aに装着されました。またボーイング737-700/800にも付いていますが、ANAでは2005年のJA01ANからJALでは2006年のJA301Jから導入されています。
むかーし読んだ三菱F-1の本で、翼端のミサイルランチャを取り付けている方が飛行が安定する主旨のことが書いてあったのがうる覚えに。
多分フラッター(翼などの振動)防止といった面もあると思います。
主翼の左右端に燃料タンクやミサイルなどの重量物を取り付けた場合、ヨー(左右への首振り)方向とロール(左右への傾き)方向の慣性モーメント(動きにくさ)が大きくなるので、機体の安定はします。
「安定=動きが鈍い」なので、敏捷性の必要な高機動時にはタンクを投棄したりします。操縦感覚にはウイングレットの影響がなかったと本文にあるのは、民間機はもともと安定性重視な為もあり、「さほど」影響を感じなかったということかと思います。
三菱F-1の事は詳しく知らないけど、翼端にミサイル付けないとフラッターで不安定というのでは怖い。主翼にその後なにかしらの対策したのでは?
フラッター防止、というより軽減を目的として翼端にミサイルランチャーないしアンテナをつけている機種は結構あります(他にはMiG-25系列など)。フラッターが問題になるのは超低空高速飛行、ないし高機動時が重要であり、普通の巡航時にはあまり問題は少ないと思われます。また、フラッター軽減ないし誘導抵抗の軽減方法の一つに、翼端の形状を工夫する、という方法もあるようです。
これ旅客機で搭載機が出てきた頃、速度が遅くなると言われてた
尾翼には付けない決まりなの?
水平尾翼につけても誘導抵抗は軽減しません。
時々水平尾翼の端に垂直尾翼がついている機体もありますが、それは縦安定性や操縦性を保つためには胴体上の垂直尾翼では面積が足りなくなった結果で、今回の話とは全くの別問題です。