米B-1B「ランサー」が核攻撃不可なワケ 話題の戦略爆撃機、封印はロシアが保証?

B-1Bはなぜ核攻撃能力を封印されたのか

 B-1Bはもともと、高度数十mの超低空を音速に近い速度で侵攻し、核攻撃を行う目的で開発されました。しかしながらアメリカとロシアのあいだで、核弾頭と運搬手段の保有数に制限を設ける「戦略兵器削減条約(START)」が結ばれたことによって事情が変化します。

 2017年現在は、2011(平成23)年3月に結ばれた「新戦略兵器削減条約(New START)」によって、運搬手段は爆撃機+大陸間弾道ミサイル(ICBM)+潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の合計700機以内(非配備含め800機以内)、核弾頭数1550発以内への削減が義務化されています。

 B-1Bは新戦略兵器削減条約における運搬手段に該当する機種でしたが、米露両国はB-1Bから核搭載能力の封印を条件に、条約の制限外と見なすことで合意しています。同じようにロシア側もTu-22M戦略爆撃機は、空中給油装置を排除し航続距離に制約を設けることによって制限外となっています。

 B-1Bの核搭載能力封印は、機体に対して核兵器を物理的に搭載不可能とすること、また核兵器に対して発射信号を伝達することを不可能とする、という2段階の改修によって達成されています。

 具体的には核弾頭を搭載できるAGM-86B ALCM(空中発射型巡航ミサイル)を装備するために必要なパイロン(支持具)を取り付けられないよう、機体側の装着部を溶接によってふさぎ、加えてALCMを発射するために必要な信号を送信するケーブルコネクタが排除されています。

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コメント

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5件のコメント

  1. 私個人的にはA型の方がカッコいいと思います。ただ、ホワイトボディーのこの機体が爆撃機?はもったいない❗超音速旅客機か超音速ビジネス機?にした方がよかったかな?と思います❗

  2. 多分、当時としてはB-2を100機以上量産するつもりがあったのと、トマホークとかで充分な抑止力があるから(Mk41フルサイズの寸法はトマホーク搭載を前提としている。ちなみにMk41には扱い全長が短いタイプもあります。)、B-1の核を封印しても問題なし、と思っていたのかもしれない。あるいは逆に条約締結当時は核戦争は起こらないと予想していたのか。B-52に核兵器を残したのは、当時としてはどうせ21世紀前後に引退する(はずだった)旧式爆撃機の改装費をけちったとも考えられます。余談ですが、マンガ「エリア88」にもB-1が登場、爆撃まで行っています。序でにライバルのTu-160はもっとデカイです。しかも色も白いし。さしずめ死の大白鳥?しかし今になって大問題になろうとは。

    • 余談のところ。
      サキ司令官自ら操縦してました。88ではF-20とかX-29とかも飛んでましたね。新谷さん引退とか言わないで現代を舞台に続き描いてくれないかな?

  3. 「核搭載可能なB-1B」なる報道を見た覚え無いですけど。ま、全てのニュースや新聞見てる訳じゃないですが。 個人的には、B-1Bは北が核攻撃と同時にやるであろうソウル侵攻を阻止するぞとのデモンストレーションに思えます。前線への爆弾バラ撒きに、搭載量と飛行速度とステルス性が生きます。他の攻撃(北の指導者の地下シェルターへのバンカーバスターとか)はF-15Eとかでも良い。

  4. 動画検索ワード「B 1B Lancer 可変翼の超音速爆撃機 ロックウェル・インターナショナル ランサー」
    MPL多目的発射装置で「B61」と「B83」の核爆弾が搭載可能です。動画7分55秒参照。