「電車」が初めて国の重要文化財に JR通勤電車の先祖ナデ6141 生活映す歴史資料

国鉄・私鉄を渡り歩いたナデ6141 重文指定の決め手は?

 ナデ6141は1925(大正14)年に国有鉄道から目黒蒲田電鉄(現・東急電鉄)に譲渡され、その後は芝浦製作所、鶴見臨港鉄道(現・JR鶴見線)、日立電鉄(廃線)と移籍。工場の牽引車や、貨車の入換用に使われたこともありました。

 1972(昭和47)年に日立電鉄から当時の国鉄(日本国有鉄道)へ返還され、国鉄大井工場(東京都品川区)での復元・整備工事を経て、現在の鉄道博物館が開館した2007(平成19)年10月14日より、同館で保存、展示されています。

「移籍先の各所で大切に扱ってもらったことが重文指定につながりました」(JR東日本 白石総務部長)

 当時の姿をよくとどめていることも、指定理由のひとつだそうです。文化庁の山崎(「崎」の字は正しくは異体字)文化財部長によると、大正時代における通勤需要の増大を背景に誕生したナデ6141には、「近代の生活を映す歴史資料としての価値」があるといいます。

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重文指定の記念銘板。
ナデ6141の集電装置はトロリーポール式。
車内はロングシート。つり革も設置されている。

 鉄道博物館に収蔵されている国の重要文化財はほかに、1号機関車(150形)、鉄道古文書(明治時代における鉄道創業期の公文書群)、1号御料車(初代)の3件がありますが、これらは鉄道博物館の前身である交通博物館の時代に指定されたもの。今回のナデ6141は、鉄道博物館発足後、初めての指定です。

 なお、このナデ6141と同時に、地下鉄博物館(東京都江戸川区)所蔵の「地下鉄車両1001号車」も国の重要文化財に指定されています。「電車」が国の重要文化財となるのは、この2両が初めてです。

【了】

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コメント

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1件のコメント

  1. 電車って意外と大事にされていないんだな。モハ63とか101はとっくに国宝に指定されているかと思ていたよ。