国産輸送機C-2、国際デビューのその先 ライバルはエアバス! 国際市場での勝算は?
C-2はどこを狙っている? ライバル機に勝るポイントとは
C-2はC-130「ハーキュリーズ」に代表される中型輸送機よりはひと回り大きく、また大型輸送機C-17「グローブマスターIII」よりはひと回り小さいという、中型機と大型機のあいだの隙間市場における需要への供給を目指すものと見られます。
ライバルとなりそうな機種は少なく、エアバス社の軍事部門エアバスディフェンスアンドスペースA400M「アトラス」が唯一その対抗馬となるでしょう。
A400Mに対するC-2の優位点としては、まずエンジンがジェネラル・エレクトリック社製CF6-80C2K1Fの双発であるということが挙げられます。CF6シリーズはボーイング767をはじめ、多くの旅客機に採用された極めて普遍的なエンジンであり、世界中どこの空港においても運用しやすい特徴を持ちます。
一方A400Mが4基搭載する、ユーロプロップ・インターナショナルTP400はA400Mのために開発されたターボプロップ(ジェットエンジンの排気を回転力に変換しプロペラを駆動させる)エンジンであり、CF6に比べて実績がありません。
またC-2は最大巡航速度マッハ0.82で、ジェット旅客機と同等であり、A400Mをマッハ0.1上回ります。ゆえにC-2は旅客機と同じ航路・高度を飛行でき、そのため飛行計画がはるかに立案しやすいメリットがあります。
C-2は軍用輸送機としては不整地離着陸が出来ない時点で失格。民間輸送機としては明らかなオーバースペックなため失格。特に不整地離着陸に多発するエンジンの異物吸入対策が講じられていない可能性があり、着陸脚も不整地離着陸を考慮されているとは思えないほど複雑な動きをしている。また、離着陸距離も相当必要となりそう。ついでに、中東辺りの国が整備に手間隙かかる日本軍用機を扱える可能性は限りなく低い(最後はP-1も同様)。
さらに言えば、被弾などの被害や故障時の安全性、それに不整地離着陸や戦闘被害ないし災害などで離着陸距離が制限された滑走路での短距離離着陸を考慮すれば、双発ジェットよりも4発ターボプロップの方が利にかなっている。C-2が使用可能な場面はあくまでも戦闘の可能性が絶無な空域のみ、中東の戦場に投入できる代物ではない。ついでに、整備についてもエンジン以外はC-2独自のため、整備に手間がかかるのは同じ(主翼、フラップ、尾翼、風防などもB767と共通化すれば話は別だったが)。正直私が空軍担当なら、絶対C-2は選ばない。
一部P-1と共用している、というが、P-1自体も日本国外では採用されない(整備に手間隙かかりすぎ)時点で国際的には独自といってもよい。