知られざるロールス・ロイスとは 高級車の代名詞は航空エンジンの名門!

第二次大戦の空を制したRR製エンジン

 第二次世界大戦が始まると、ロールス・ロイスは自動車の生産を中止し、航空機用エンジンの生産に専念します。スーパーマリン社(イギリス)の「スピットファイア」やホーカー社(イギリス)の「ハリケーン」などに搭載された液冷V型12気筒「マーリン」エンジンは第二次世界大戦期の傑作エンジンといわれています。

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「マーリン」エンジンを搭載した、イギリスの名機「スピットファイア」(2017年、石津祐介撮影)。

「ダンケルクの戦い」で、本土(グレートブリテン島)に撤退したイギリスとその本土上陸を目論むナチスドイツの間で行われた史上最大の航空戦「バトル・オブ・ブリテン」では、「マーリン」を搭載した「スピットファイア」が大活躍し、イギリスを救った戦闘機として一躍その名を轟かせます。

 イギリス以外の戦闘機では、高高度での性能が発揮できなかったノースアメリカン社(アメリカ)P-51「マスタング」戦闘機のエンジンをアリソン社(アメリカ)の「V-1710」から「マーリン」に換装したところ、飛行性能が飛躍的に向上しました。それ以降、ライセンス生産した「マーリン」を搭載した「マスタング」が地上攻撃や爆撃機の護衛で大活躍し「史上最高のレシプロ戦闘機」として評価されます。

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「ダート」エンジンを搭載した航空自衛隊のYS-11FC(2016年、石津祐介撮影)。

 ロールス・ロイスは、1947(昭和22)年に世界で初めてターボブロップエンジン「ダート」の実用化をスタートさせます。このエンジンの登場により、航空機はレシプロエンジンからターボブロップエンジンへの切替えが進みます。

 ヴィッカース(イギリス)の旅客機「バイカウント」をはじめ、日本の国産旅客機「YS-11」にも採用され、1987(昭和62)年まで生産されロングセラーのエンジンとなりました。

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コメント

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8件のコメント

  1. ついでに。航空機転用形船舶用ガスタービンを開発、日本を含め多数の国で採用されています。また、社名の由来は二人の創業者にちなみ、ロゴは当初は赤色、のちに創業者の一人が亡くなってからは黒色に変更しています。

  2. オートバイの話になりますが、わたしが16歳の頃、ヤマハのRZ-50に載っていました。
    この頃から、働くようになってこのオートバイは、通勤の足として使っていました。
    当時はまだ、ノーヘルで50CCに乗れる時代でした。

  3. 長いな、賞味できる記事がいい

  4. 実際の所、RRもBMWと合弁で航空機エンジンを作っていた事もあるけどこちらではその事は黒歴史化しているだよな。

    やがて自動車はRRはBMWにベントレーはVWは流れてしまったからな。

    • バトルオブブリテン、スピットファイヤ対フォッケヴルフの組合わせ。

  5. 現在の自動車メーカーは、ひこーきと関係してた所が結構ある。

    サーブやスバル(⬅中島飛行機)はもともと航空機メーカーだし、エンジンならRR以外にもDBやBMWのドイツ勢、GM、FIAT、ルノーなどなど。
    あ、今はホンダもそうか。

  6. 誤記発見。

    ハリアーの所の「STOVL(垂直離着陸)機」表記、英語と日本語が合ってない。正しくは、
    ・STOVL(Short Take Off / Vertical Landing)=短距離離陸垂直着陸
    ・VTOL(Vertical Take Off and Landing)=垂直離着陸

    実際はVTOL機をSTOVL運用すると都合が良い(燃料消費量や弾薬搭載量などで)様で、VTOL機のハリアーはSTOVL運用が主だし、STOVL機とされるF35Bも垂直離陸可能なはずではある。

    • ご指摘ありがとうございます。訂正いたしました。