いまや絶滅危惧種 ディスコカーや展望車もあるJRの「ジョイフルトレイン」、その未来は
数減らすジョイフルトレイン 一方で増えているのは
ところがバブル崩壊後は、社員旅行など大口の団体旅行が少なくなったほか、そうした旅行には観光バスが使われることも多くなり、ジョイフルトレインは次第に数を減らします。さらに、ジョイフルトレインは特殊な設備を持つことからメンテナンスが大変な反面、稼働率は少ないためコストパフォーマンスが悪くなってしまいます。臨時列車を走らせるためのダイヤ調整が難しくなってきたこと、走行するための動力を持たない客車の場合は機関車や運転士の手配が必要なことも、衰退に拍車をかけました。
すでにJR九州とJR東海では全てのジョイフルトレインが引退。他のJR各社でも数を減らしています。JR西日本では前述の「サロンカーなにわ」だけに。JR東日本でも「ゆう」に先立ち、2018年1月には「NO.DO.KA」が廃車となるなど、その未来は決して明るくありません。
一方で、近年は全国各地で観光列車が増えています。例えば、JR東日本の「SLばんえつ物語号」や「伊豆クレイル」、JR西日本の「花嫁のれん」や「SLやまぐち号」などは、イベントスペースや展望スペースなど、列車の旅そのものを楽しめる設備が充実。地域にちなんだ料理が味わえるものも多く、なかには車内に足湯を設けた山形新幹線の「とれいゆ つばさ」など個性的なものもあります。いわば「現代版ジョイフルトレイン」であるこれらの車両が、近年のトレンドである個人や小グループ旅行のニーズを満たしていると言えるでしょう。
もはや絶滅危惧種となってしまった、旧来のジョイフルトレイン。前述の通り団体旅行などでの貸切利用がメインであり、なかなか気軽に乗車することができません。一方で、JR東日本の旅行商品「びゅう」やJR西日本グループの日本旅行では、ジョイフルトレインを利用したツアー旅行も開催。貴重な車両に乗れる絶好の機会とあって、注目を集めています。こうしたツアーは駅のパンフレットや各社のウェブサイトで告知されるので、こまめにチェックすると良いでしょう。
かつて一時代を築いた、JRのジョイフルトレイン。残り少なくなった彼らの姿を、いまのうちに楽しんでおきたいものです。
【了】
Writer: 伊原 薫(鉄道ライター)
鉄道ライター。乗り鉄・撮り鉄のほか、鉄道旅で酒を楽しむ「飲み鉄」や列車を貸し切って遊ぶ「借り鉄」の普及に勤しむ。最近は、鉄道と地域の活性化アドバイザーとしても活動中。好きな発車メロディはJR北千住駅。
全国各地に増えている観光列車もジョイフルトレインだけどね
ジョイフルトレインというのは楽しい列車という意味だから
観光列車も貸し切り利用やツアー利用でかつてのジョイフルトレインと同じ利用ができるものが多いだろうし
むしろ個人利用がしやすくなって、私鉄や三セクも導入しているあたり、衰退ではなく一般化という進化をしただけではないかと思う