クレーンも使ってすべて分解 東京メトロ「鉄道車両の車検」に密着(写真54枚)
「状態・機能」「重要部」「全般」の3種類
鉄道車両の定期検査は、鉄道営業法に基づく国土交通省令「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」(鉄道技術基準省令)により義務づけられていて、検査の具体的な周期は国交省の告示「施設及び車両の定期検査に関する告示」(定期検査告示)で定められています。
定期検査告示によると、鉄道車両の定期検査は、検査の内容により「状態・機能検査」「重要部検査」「全般検査」の3種類に分けられます。
状態・機能検査は、定期検査のなかでは最も簡易的なもので、編成を解いたり部品を取り外したりはせず、列車の運転に使える状態(在姿状態)のまま、搭載されている装置の状態や機能をチェックします。
なお、鉄道事業者によっては、検査の名称を別の言葉に置き換えて呼んでいるケースがあります。たとえば、状態・機能検査は月単位の検査周期になることが多いため「月検査」と呼ばれていたりします。深川検車区の車両に「月検」と記された旗が取り付けられていたのも、東京メトロが「月検査」と呼ぶ状態・機能検査を行っていたためです。
重要部検査は、車体と各種装置を分離して行う検査。モーターやブレーキなど、故障したら重大な事故につながる恐れのある装置を重点的にチェックします。鉄道事業者によっては「要部検査」などと呼んでいるところもあります。
そして全般検査は、その名の通り車両全般をチェックする検査です。定期検査のなかでは最も大がかりなもの。機器や装置は全て分解して細部まで徹底的に検査し、可能な限りデビュー時に近い状態まで修繕します。深川工場で公開された車体と台車の分離作業や、ブレーキ部品の手入れなどが、この全般検査として行われた作業です。
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