東京モノレール、なぜ浜松町発着? 北への延伸は「幻」に終わるか

駅前が駅の予定地だった

 このときの計画図によると、モノレールの新橋駅は現在のJR新橋駅の南東側になる新橋駅前ビル2号館のあたりに設置。ここから1号館のある場所を通って北上し、現在は汐留シオサイトとして再開発された汐留貨物駅を回り込むようにして南下することになっていました。その先も旧芝離宮恩賜庭園の東側や芝浦運河を通る計画で、いまとは異なるルートになるはずでした。

 ところが、計画ルート上にある芝浦運河では、付近の住民がモノレールの建設に反対し、建設が難しい状況になったといいます。こうしたなか、浜松町駅の西側にあった都営バスの車庫跡地を確保できる見通しになったことから、ターミナルの位置を新橋から浜松町に変更。浜松町から芝浦運河を通らずに空港を目指すルートに変わったのです。

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JR新橋駅(汐留口)の駅前広場。現在の新橋駅前ビルがあるあたりにモノレールの新橋駅が設けられるはずだった(2011年8月、草町義和撮影)。

 ターミナルの位置やルートを変更した日本高架電鉄は、急ピッチで工事を進めました。オリンピック開催年の1964(昭和39)年には、社名を東京モノレールに変更。同年9月17日、浜松町駅と羽田駅(羽田空港が拡張される前の旧駅)を結ぶ区間が開業しました。その後、羽田空港の拡張に伴うルートの変更や延伸を経て、いまに至っています。

 新橋への乗り入れは1966(昭和41)年1月に中止されましたが、その後も北に延伸して新橋駅や東京駅に乗り入れる構想が、ときどき浮上しています。JR線の上にモノレールの高架桁を建設し、浜松町駅から新橋駅や東京駅まで伸ばすことが考えられているようです。

 ただ、最近はJRの貨物線を活用して羽田空港に乗り入れる「羽田空港アクセス線」の構想が浮上しました。国やJR東日本も羽田空港アクセス線の整備を推進していく姿勢を示しており、東京モノレールの新橋乗り入れは再び幻に終わりそうです。

【了】

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コメント

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6件のコメント

  1. おそらく羽田アクセス線自体が幻で終わりそうな気がする。
    5年ほど前にこの構想が持ち上がったときはやんやと盛り上がったものだが、いまや誰の口からもこの路線のことが語られたためしはない。

    最初は休止中の大汐線の路盤を活用してということだったがこれ自体が東海道新幹線を海側に移設しなければどうしようもない話だったし、その後りんかい線を活用して新宿方面と千葉方面にも直通運転するという感じに話が広がった時点で、その話の壮大ぶりに“これは実現しないな”と確信した。

  2. 羽田関連で、同じく都心直結線もあまり期待しない方が賢明なのかもな。
    最悪、浅草線を止めて造り直す際の代替ツールにもなり得たが、羽田アクセス線以上に誰も注目しなくなった。

    羽田空港の鉄道アクセスは、半永久的に京急と東京モノレールの二者のみとなり、
    鉄道によって山手線の西側半分と直通されることはなくなるのだろうか。
    もっとも、バスタ新宿から中央環状線経由のリムジンが出てるから、そんなに不便ではない。

  3. つくばエクスプレスの東京延伸をやめてモノレールを東京駅延伸した方が安くて便利だよ。
    つくばエクスプレスは東京延伸しても建設費だけがかかって採算取れないからモノレールを東京駅か新橋駅まで延伸させた方が現実的だと思う。

    • なんでここでTX? 羽田空港とつくば市、会社も別、関連がわからん。

  4. 新橋には既に都営地下鉄から羽田直通の電車があるから、モノレールが新橋延伸しても今更感は拭えないと思う。

  5. 品川駅はリニア新幹線の終点でもあるし、東海道新幹線、東海道線や横須賀線からの乗り換えも便利なターミナル駅でもある。
    航空機で旅行しようという人にとって、新橋駅+浜松町駅の2駅より品川駅1駅の方が価値が有るのではないか。
    浜松町駅から北に伸ばすのではなく、天王洲アイル駅から西側に伸ばして品川駅接続にした方が良いのでは?
    それと、天王洲アイルより北は終点の浜松町しかない。浜松町駅と天王洲アイル駅間の軌道は放棄すればいい。新線の建設費はかかるが、新橋延長も同様のことが言える。営業キロ数が減る事でリストラにもなる。

    問題は導入空間があるか?ですよね。