旧「万世橋駅」のいま 交通博物館の休憩所は階段に カフェ、ビアバーも 東京の「今昔」体感(写真15枚)
働く人々は交通博物館を知らない世代
中央線の高架下は現在、「ノースコリドー」と呼ばれるレンガ造りのアーチ空間となっています。北欧ビンテージ家具・雑貨の店やオーダースーツの専門店など様々な店舗が入っており、周辺の会社員や国内外の観光客でにぎわいます。旧万世橋駅赤レンガ駅舎のジオラマや、歴史を解説する展示は国内の観光客に人気。近年は外国人観光客も増えています。
ノースコリドーは、交通博物館時代には新幹線の運転シミュレーターや、車両の部品などの展示室として使われていました。レンガアーチやコンクリート柱にはカバーがかぶせられ、神田川に面した窓も塞がれていたので、中央線の真下にいるとは気づきにくかったものです。
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「え、ここ昔はこんなだったんですか?」
山形の食を楽しめるカフェ兼定食屋の「フクモリ」で、女性店員に交通博物館時代の写真を見せると、驚きの声があがりました。
「ここで働いて4年ほどになります。働き始めたときは、トンネルのなかにいるようで、秘密基地みたいと思ったのを覚えています。頭上で響く電車の音を聞くと、ここは駅だったんだなと感じます」
交通博物館時代のことは知らないそうですが、客から尋ねられることも多いとか。
「懐かしそうに、壁や天井をご覧になる姿をよく目にします。そんなときは、『1912階段』を上ってかつてのホームの展望デッキへ行かれる経路をご案内しています」
案内に従って「1912階段」を上がると、そこはかつての万世橋駅ホームが。
「高校時代に、通学で毎日中央線を利用していて、古いホームのようなものがあるなとは思っていたんです。今日は散歩していて偶然入ったんですが、こんな風になっていたんですね」
ホームにいた50代くらいの男性は、このように話しながら懐かしそうに写真を撮っていました。
常陸野ブルーイング・ラボのあった空間は博物館の末期に雛形あきこ主演の戦中を扱うドラマかなんかの撮影をしていたはず