「九五式軽戦車」里帰りなるか 1億円目指し資金調達スタート(写真14枚)

旧日本軍の「九五式軽戦車」をイギリス人から購入し、日本に里帰りさせるプロジェクトがスタート。資金調達の目標は1億円です。

燃料噴射ポンプも捜索中

 NPO法人防衛技術博物館を創る会(静岡県御殿場市)は2018年5月10日、旧日本軍の「九五式軽戦車」を機械技術遺産としてイギリスから里帰りさせるプロジェクトを開始すると発表しました。

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エンジンの搭載を待つ九五式軽戦車。操行装置はオーバーホール完了(画像:NPO法人防衛技術博物館を創る会)。

 同NPOは、戦車、装甲車などの防衛装備を保存・展示するため、御殿場市と「防衛技術博物館」の誘致について協議中。これまで、日本国内に1台しかない「くろがね四起初期型」の修復作業や国内外に残る旧軍車両の残存調査、防衛技術博物館の設置を実現する議員連盟の設立などの活動を行っています。

 九五式軽戦車は1930年代に開発された大日本帝国陸軍の戦車で、2300両以上が製造されました。今回の里帰りを待つ1両は、戦時中に西太平洋のポナペ島(現・ミクロネシア連邦ポンペイ島)に配備されたもの。戦後、京都嵐山美術館(1991年閉館)、白浜ゼロパーク(2002年閉鎖、和歌山県白浜町)と移され、現在はイギリス人が買い取り、三菱製オリジナルの空冷ディーゼルエンジンを搭載するなど、ポーランドで修復が続けられています。

 里帰りに際し、イギリス人から戦車を買い取る際の対価は65万ポンド(約1億円)。そのための資金として、同NPOは1口10万円の寄付を1000口募る方針です。

 公募期間は5月10日(木)から9月末日までの約4か月間。募金の詳細は同NPOへ。賛同した人や団体などの名前を記載した小冊子や書店流通の冊子を作る予定があるといいます。

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銘板とともに復元された12Vバッテリー用の箱(画像:NPO法人防衛技術博物館を創る会)。
オリジナルのメーターパネルと設計図面(画像:NPO法人防衛技術博物館を創る会)。
オーバーホールが終わり、燃料噴射ポンプの取り付けを待つエンジン(画像:NPO法人防衛技術博物館を創る会)。

 また同時に、同NPOは、現在修復中のディーゼルエンジンの部品である燃料噴射ポンプの状態が悪いため、次の部品を探しています。

●三菱重工製空冷ディーゼルエンジン「A6120VDe」用燃料噴射ポンプ
・三菱A690RR型
・三菱E型
・新潟鐵工AL6L型
・神戸製鋼L-5型

 このいずれかの現物を譲渡できる、または情報を提供できる人も連絡してほしいとのこと。同NPOは「モノづくり大国、技術立国と呼ばれながら、僅か数十年前の工業製品を稼働状態で保存、展示もされない我が国現状を変え、後世に技術を伝承するために、当プロジェクトへの支援をお願いする」としています。

【了】

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コメント

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2件のコメント

  1. どうせ資金不足や整備不良で動けなくしてしまうのが関の山
    今の所有者であるイギリス人の元に置いておくべき

  2. 「日本黒歴史博物館」の方がピッタリでは?
    散々幾多の国々を侵略した上、挙句の果てにはアメリカにケンカ売って自滅したという、ろくでもない時代なんだし。