空自、空中給油機を調達の背景 それでも足りない? 現代航空戦で見直されるその価値

戦闘機の任務はなぜ長時間化しているのか

 なぜ作戦目標が定められていないのかというと、たとえば何かを爆撃する必要が生じた場合はネットワークシステムを活用し、最も近くを飛んでいる誘導爆弾を搭載した戦闘機や爆撃機に、必要なデータを送って作戦を実行させているためです。

 これならば作戦立案から数分という短い時間で対象を破壊できます。従来のような地上で作戦を立案しそれから戦闘機や爆撃を発進させてといった手順を踏んでいては、どんなに早くても攻撃は翌日以降となるでしょう。一方その代償として、戦闘機は長時間空中待機を行わなければならなくなっているのです。

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伊空軍のKC-767と同空軍および英空軍のユーロファイター「タイフーン」。2011年のリビア空爆ではイタリアから出撃し地中海を縦断して任務にあたった(関 賢太郎撮影)。

 一例として2011(平成23)年に行われたリビア空爆における、イギリス空軍のユーロファイター「タイフーン」を見てみましょう。ユーロファイターの作戦は平均6飛行時間、最大9飛行時間にも及び、例えば6飛行時間の作戦では最低3回の空中給油が必要でした。こうした事情は、ネットワーク能力に著しく欠いた前時代的なロシア軍戦闘機以外はほとんど同じです。

 長時間の作戦はパイロットにとって、肉体的にも精神的にもかなり厳しい作戦です。かつて太平洋戦争においてラバウルに駐留した零戦のパイロットらは、往復8時間をかけてガダルカナル島へ進出したことで知られ、非人道的な酷使であったとみなされることが多いようですが、皮肉なことに現代ジェット戦闘機のパイロットらは当たり前のようにこうした長時間にわたる任務をこなしています。

 現代はラバウルとは違って、食べるものは十分に確保できますし、マラリアなどの病気も心配ありません。またエアコンも搭載しているので負担はかなり違ってくるでしょう。それでも日常的に作戦を行う上での人間の限界は、だいたい6飛行時間から9飛行時間程度であり、こうした過重労働は長期間続けることは不可能で、解決すべき大きな問題となっています。

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コメント

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5件のコメント

  1. バーンと12機くらいボーイング787発注するか、思いきってMRJを24機くらい発注して空中給油機に改造すれば良いと思う

  2. この人はただの軍オタなんですかね。イギリスのリビア空爆は、本国からの移動の際、フランスとスペインが上空通過を許可しなかったから大西洋~ジブラルタル経由で遠距離飛行したのが原因です。自衛隊のように自国の防空識別圏を出ることがない専守防衛と比べられても全く条件が違いすぎる。
    空中給油機は、上記のような遠距離の侵攻や空母発艦時の機体重量を軽くするために利用することが主な使われ方です。アメリカの言う「俺ら無しでは誰も何もできない(Nobody Kicks Ass Without Tanker Gas)」とはこうした海外などの遠隔地での作戦を指して言っていることであり、日本には当てはまりません。
    さらにいうなれば、本土上空が戦闘区域となる可能性がある日本では、空中給油機に対して護衛機をつける必要があり、そのような余分な航空機は自衛隊は現状ないと考えられます。

  3. ↑のaさんの言うように、どういう運用しようとしてるかが最重要だと思う。他国と比較するにしても、世界中に展開する特殊な米軍と比較してもしょうがないんで、せめてドイツとか、もちょっと「普通の国」との比較にしてもらわないと、私らシロートには多いか少ないかはわからん。

    戦闘機の滞空時間も大切だけど、海に囲まれた日本だと、対潜哨戒機に空中給油して滞空時間伸ばす事が重要なんではなかろうか? で、P-1に空中給油機能ついてたっけ? F35A相手だけの話で終わらせて欲しくないかな。

    なんか、見えてる面の少なそうな人の書いた記事の様に感じる。

  4. 空中給油機について足りないならばどの程度の機数が必要なのかについて言及して欲しいです。 空自の保有機をどういった作戦に就けるのか、運用方法を示さずに足りないと言われましても。

  5. イギリス軍のそのリビア空爆に行われていた6~8時間勤務というのは終結後の今でも日常的に実施されているのですか?