「都心ターミナルから観光地へ」はもう古い? 東京郊外発の高速バスが増えているワケ

郊外の停留所整備を国も推進

 このような、郊外から観光地へ直行する高速バス路線の増加した背景は、大きく分けてふたつあると考えられます。

 ひとつは、以前から運行されていた都心~観光地の高速バス路線において、鉄道との乗り換えが便利な途中停留所の利用が増えていたことです。東名高速本線上の「東名江田」(東急田園都市線および横浜市営地下鉄ブルーラインあざみの駅から徒歩約10分)、関越道本線上の「川越的場」(JR川越線的場駅から徒歩約10分。川越駅から直通の路線バスあり)といった停留所です。

 特に後者は、関越道開通当初に停留所として設置されたものの、1本も停車しないまま長く放置されていました。ところが2006(平成18)年、バス事業者が道路管理者と調整を重ね停留所として使用開始したところ、多数の利用があり、いまでは定着しています。

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「中央道日野」バス停。このような途中停留所の利便性向上が、郊外の鉄道駅に発着する路線の新設を促した(成定竜一撮影)。

 このような高速道路上にあるバス停の利便性向上に、国が直接関与した事例もあります。「中央道日野」停留所は、国土交通省関東運輸局が旗を振り、待合スペースを拡充するなどして、徒歩で約7分の多摩モノレール甲州街道駅から乗り換えを促進しました。同様に運輸局主導により、上り方向(東京方面)限定ですが、高速道路渋滞時の回避策として首都高3号渋谷線「用賀PA」(東急田園都市線用賀駅まで徒歩約5分)、6号三郷線「八潮PA」(つくばエクスプレス八潮駅まで徒歩約6分)でバスを降り、鉄道に乗り継ぐサービスも10年ほど前に導入されています。こうした停留所の人気が、郊外の鉄道駅発着の高速バス路線を新設する動きにつながりました。

 もうひとつの背景は、郊外と羽田、成田両空港を結ぶ空港連絡バスの成功です。両空港への直行バスは、新宿や横浜といった主要ターミナル駅、T-CAT(東京シティエアターミナル)、および主要ホテル発着に限定されていましたが、2000年ごろから、郊外発着の路線が急速に増加しました。

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コメント

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7件のコメント

  1. 増えた訳が明確に書いてないんだが…

    東京近郊の場合は都市部の従来発着地が飽和(バス受け入れ困難)してる上、
    変なとこから発着させても利用客となる人口が多いからこそ出来るんだろうね。

    例えば名古屋(愛知県)ならJRターミナルと名鉄BCと栄発着の
    どれかでないと需要が厳しい。
    空港発着に設定しても厳しく消えた路線も多く。
    そしてバス発着場所は幾らでも作れるし。
    名古屋駅ささしまライブなんて無理やりな例もあるけど。

    大阪や京都も似たような状態。
    結局は梅田、京都駅など主要地を飛ばす路線で採算にのせるのが難しいところばかり。

  2. こんなにある、と言いつつ京浜東北線よりも東側は3箇所だけか。ちょっと寂しいな。

  3. 高速のインターやランプから至近にある駅は格好の乗り場になる。
    例えば田園都市線の市が尾駅。
    横浜青葉インターの真横と言ってよい場所であり、現に東京駅~河口湖の系統での使用実績もある。更に2年後には首都高横浜北西環状線が延びてくるので、新百合ヶ丘・たまプラーザ~羽田空港の系統も経由することになるだろう。

    話が逸れたが、バス会社は今後、こういった駅に注目することだろう。

  4. おけいはん、阪急京都線沿線だと減ってるんだよな(ウィラーさんとか「観光バス型高速バス」から移行した路線は知らない)。まぁ名神高速道路上の「名神深草」とか「名神高槻」とか京都縦貫道の「高速長岡京」、第二京阪の「高速京田辺」があるから見過ごしがちだけど(なお、そういった沿線上に拠点を持つ京阪バスが長距離高速バスから京都駅=松井山手=交野=なんば(=USJ)の短~中距離高速バスへ移行してる点もあるんだけど)。

  5. 各都市のターミナル駅間の路線でさえも、路線によっては減便や廃止・他路線との統合して経由便化も多々見受けられるのに、そんな地方駅からの長距離高速バスは需要ゼロではある筈ないものの、一定以上の利用客が居るのかが今でも疑問に思う。
    加えて・・・高速道バス停も最寄り駅まで徒歩10分程度でも利用者があるのも意外。長距離バスは荷物多めの場合も多々であり、荷物持っての徒歩移動はチョットしんどいでしょ?せめて一般道へ出たところに一般路線バス停があれば選択肢にもなり得るが!
    鉄道と路線バス相互の乗り換えは当然ながら、更なる需要開拓・利便性向上の為にも高速道上バス停との相互乗り換えはもっと密に連携させるべきだと思うのだが。

  6. 関東、特に埼玉と千葉の西部は東京(江戸)の延長線上として発展した歴史上どうしても東京への集中と相互間の連携需要のなさが生じる。
    現在千葉~大宮間を高速バスが運行しているがかつてつくば学園都市と大宮を、甲府と大宮を結んだ路線がどんな結末だったのかはわかっているだろう。
    つまり大宮を起点として都市間を結んでも精々上尾や岩槻の住民が来るだけで(川越はまず来ない)、
    新幹線との接続メリットを訴えたところで新幹線の客は東京で高速バスに乗り換える。
    埼玉の事業者が運行する関西方面の夜行高速バスは免許関係上大宮起点だが東京に寄る事で採算を取っている。
    新免大手が埼玉に集中している関係もあり東京(主にバスタ新宿)「始発」が出来ない関係上大宮始発としたものだが
    元々西武がこの方式を取っているという事も大きい。
    池袋なりに乗り入れできずに赤羽までだった国際興業の関西方面が廃止になったように東京で採算を取るという考えは今後も変わらないだろうと思われる。
    但し空港連絡は空港に行くという明確な目的があるので東京をすっ飛ばしても需要さえあれば問題ないと思われる。

  7. 記事と逆の視点で考えるけど、利用者が渋滞から逃げるためにある高速道路上のバス停。

    八潮はどうかしらないけど、用賀は渋滞から逃げるには遅すぎなので、あまり評価しないで欲しい。
    (正しくない場所に駐車が居るとは入れないのも、用賀のダメな点)
    かといって、東名江田は駅まで近いような遠いような位置。徒歩10分は不動産屋の広告みたいな時間基準。

    無理難題言うと、田園都市線の江田の駅って、東名高速の真下にあるからもったいないと思う。
    大荷物があってもエレベータ1つでいけそうな位置関係なのに。