「都心ターミナルから観光地へ」はもう古い? 東京郊外発の高速バスが増えているワケ

大手私鉄の「総合力」で路線拡大

 これら郊外と空港を結ぶ路線は、空港アクセスを得意とする東京空港交通らが、路線ごとに東急、小田急、京王、西武、東武らそれぞれの地元の大手私鉄系バス事業者らと組んで共同運行しています。大手私鉄のグループ会社は、列車内や駅貼りのポスター、無料配布の広報誌などを活用し、沿線での認知拡大はお手の物です。現在では、たまプラーザ、調布、多摩センター、八王子、所沢、川越、新越谷などさまざまな駅から、羽田、成田両空港に空港連絡バスが運行されています。

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京王バス南が運行する南大沢・聖蹟桜ヶ丘・京王多摩センター~羽田空港間では、「サンリオピューロランド号」も運行されている(中島洋平撮影)。

 郊外から観光地への高速バス路線も同様に、このような大手私鉄系バス事業者が運行することで、私鉄沿線や自社路線バス営業エリア内で需要を掘り起こしているのです。

 冬期のみ運行される新越谷・川越~伊香保・四万温泉線は、さらに、東武鉄道の各駅から新越谷や川越までの鉄道乗車券をセットにした乗り継ぎ商品を設定しています。運行する関越交通(群馬県渋川市)は東武グループの会社です。鉄道とセットにすることで、北千住や池袋など都心部からの需要も狙えるうえ、鉄道会社は沿線での告知に積極的になります。温泉での宿泊も含まれるパッケージ商品は、沿線に支店を多く持つ東武トップツアーズが取り扱ってくれます。大手私鉄系ならではの総合力を活用した試みです。

 また近年では、圏央道など高速道路網の整備が進んだことで、新路線が運行を開始した例もあります。藤沢・辻堂・本厚木~河口湖、南町田・町田・橋本~河口湖といった路線は、圏央道なしにはあり得ない路線です。2018年6月2日(土)には外環道の延伸部(三郷南IC~高谷JCT)も開通し、さらなる新路線の誕生や所要時間短縮が期待されます。

 ちなみに、旅行会社が企画実施する「バスツアー」の場合、出発日によって異なる集合(出発)場所から同じ内容のコースが設定されることが多くあります。郊外の集合場所も多く設定されています。バスツアーは高速バスと違い毎日催行する必要がないので、日によって集合場所を変えることで幅広いエリアから集客しているのです。

 冬場のスキーツアーでは、「乗り継ぎ」も一般的です。たとえば、神奈川方面出発のバスと千葉方面出発のバスが、いったん新宿などに集結したうえで、新潟県や長野県などそれぞれの目的地のスキー場に向かいます。参加者は新宿などでバスどうしの乗り換えが必要になりますが、その代わり、シーズン中は毎日、自宅の近くの集合場所から目当てのスキー場へ、ツアーが設定されるわけです。

 バスツアーとは法令上の取扱いが異なるのでそのまま真似をすることはできませんが、高速バスでも、これらを参考にすることで、観光客の利用をもっと増やすことができるはずです。

【了】

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コメント

6件のコメント

  1. 増えた訳が明確に書いてないんだが…

    東京近郊の場合は都市部の従来発着地が飽和(バス受け入れ困難)してる上、
    変なとこから発着させても利用客となる人口が多いからこそ出来るんだろうね。

    例えば名古屋(愛知県)ならJRターミナルと名鉄BCと栄発着の
    どれかでないと需要が厳しい。
    空港発着に設定しても厳しく消えた路線も多く。
    そしてバス発着場所は幾らでも作れるし。
    名古屋駅ささしまライブなんて無理やりな例もあるけど。

    大阪や京都も似たような状態。
    結局は梅田、京都駅など主要地を飛ばす路線で採算にのせるのが難しいところばかり。

  2. こんなにある、と言いつつ京浜東北線よりも東側は3箇所だけか。ちょっと寂しいな。

  3. 高速のインターやランプから至近にある駅は格好の乗り場になる。
    例えば田園都市線の市が尾駅。
    横浜青葉インターの真横と言ってよい場所であり、現に東京駅~河口湖の系統での使用実績もある。更に2年後には首都高横浜北西環状線が延びてくるので、新百合ヶ丘・たまプラーザ~羽田空港の系統も経由することになるだろう。

    話が逸れたが、バス会社は今後、こういった駅に注目することだろう。

  4. おけいはん、阪急京都線沿線だと減ってるんだよな(ウィラーさんとか「観光バス型高速バス」から移行した路線は知らない)。まぁ名神高速道路上の「名神深草」とか「名神高槻」とか京都縦貫道の「高速長岡京」、第二京阪の「高速京田辺」があるから見過ごしがちだけど(なお、そういった沿線上に拠点を持つ京阪バスが長距離高速バスから京都駅=松井山手=交野=なんば(=USJ)の短~中距離高速バスへ移行してる点もあるんだけど)。

  5. 各都市のターミナル駅間の路線でさえも、路線によっては減便や廃止・他路線との統合して経由便化も多々見受けられるのに、そんな地方駅からの長距離高速バスは需要ゼロではある筈ないものの、一定以上の利用客が居るのかが今でも疑問に思う。
    加えて・・・高速道バス停も最寄り駅まで徒歩10分程度でも利用者があるのも意外。長距離バスは荷物多めの場合も多々であり、荷物持っての徒歩移動はチョットしんどいでしょ?せめて一般道へ出たところに一般路線バス停があれば選択肢にもなり得るが!
    鉄道と路線バス相互の乗り換えは当然ながら、更なる需要開拓・利便性向上の為にも高速道上バス停との相互乗り換えはもっと密に連携させるべきだと思うのだが。

  6. 関東、特に埼玉と千葉の西部は東京(江戸)の延長線上として発展した歴史上どうしても東京への集中と相互間の連携需要のなさが生じる。
    現在千葉~大宮間を高速バスが運行しているがかつてつくば学園都市と大宮を、甲府と大宮を結んだ路線がどんな結末だったのかはわかっているだろう。
    つまり大宮を起点として都市間を結んでも精々上尾や岩槻の住民が来るだけで(川越はまず来ない)、
    新幹線との接続メリットを訴えたところで新幹線の客は東京で高速バスに乗り換える。
    埼玉の事業者が運行する関西方面の夜行高速バスは免許関係上大宮起点だが東京に寄る事で採算を取っている。
    新免大手が埼玉に集中している関係もあり東京(主にバスタ新宿)「始発」が出来ない関係上大宮始発としたものだが
    元々西武がこの方式を取っているという事も大きい。
    池袋なりに乗り入れできずに赤羽までだった国際興業の関西方面が廃止になったように東京で採算を取るという考えは今後も変わらないだろうと思われる。
    但し空港連絡は空港に行くという明確な目的があるので東京をすっ飛ばしても需要さえあれば問題ないと思われる。