私鉄初の「検討」は近鉄じゃなかった! 幻の京阪フリーゲージトレイン

近鉄がフリーゲージトレイン(FGT)の開発推進を決めました。実は半世紀以上前にも、近鉄と同じ関西大手私鉄の京阪がFGTの導入を検討していたことがあります。実際にどこを走る計画だったのでしょうか。

「京阪FGT」は道路も走っていたかも?

 しかし、この直通構想には大きな問題がふたつありました。ひとつは動力。京阪本線と京津線は電車が走る電化路線だったのに対し、江若鉄道はディーゼルカーが走る非電化路線でした。ディーゼルカーなら電化路線も走れるため、直通列車で使う車両はディーゼルカーを採用することになり、京阪は江若鉄道のほか、国鉄線への乗り入れ用として当時ディーゼルカーを運転していた南海電鉄の協力を仰いだといいます。

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路面電車のように道路を走る部分がある京津線。ここをFGTが走っていたかもしれない(2018年3月、草町義和撮影)。

 そして、もうひとつの問題が軌間です。京阪本線と京津線は標準軌ですが、江若鉄道は狭軌。これでは直通運転できません。もと京阪電鉄社員の回想記によると、京阪は「標準軌間、狭軌間の若干部分に案内軌間部分をつくり、車輪の軌間を1435mm←→1067mmに自由に変更させる方法」(奥田行男「京阪電車と私(3)」『鉄道ピクトリアル』1984年1月増刊号)を直通運転の最終案としていたようです。

 つまり、私鉄のFGTは近鉄よりも先に京阪が検討しており、しかもそれは電車ではなくディーゼルカーだったのです。この構想が実現していれば、煤煙(ばいえん)を噴き上げながら京阪本線を走るFGTを見ることができたに違いありません。さらに、京津線の一部は道路上に軌道を敷いた路面電車のような区間もありますから、世界的にも珍しい「路面ディーゼルカー」として運行されていたことにもなります。

 ただ、京阪本線の淀屋橋~天満橋間は地下トンネルのため、ディーゼルカーの騒音と排出ガスをどう処理するかが問題に。走行ルートのうち京津線は勾配がきつく、ディーゼルカーでは勾配上で発進するのが難しいという問題もありました。結局、これらの問題を解決することができなかったようで、「京阪FGT」は幻に終わりました。

 ちなみに、江若鉄道線は1969(昭和44)年に廃止。皮肉にもこの年、スペインの軌間可変車両「タルゴRD-III」を使った国際列車「カタラン・タルゴ」が運行を開始しています。江若鉄道線の跡地は国鉄新線の建設用地として売却され、1974(昭和49)年に京都方面と北陸方面を短絡する湖西線が開業しました。

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地下に建設された京阪本線の淀屋橋駅。ディーゼルカーの騒音と排出ガスが問題になった(2010年7月、草町義和撮影)。
江若鉄道線の廃線跡(手前)と、同線の線路敷地を一部活用して建設された湖西線の高架橋(奥)(2013年12月、草町義和撮影)。
湖西線を走る新快速(2013年12月、草町義和撮影)。

 いまでは大阪、京都方面から湖西線に乗り入れるJRの新快速列車が多数運転されており、「京阪FGT」は形を変えて実現したといえるかもしれません。

【了】

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コメント

1件のコメント

  1. しかし、京阪本線と京津線の直通車両として運用されたびわこ号も昭和36年には直通列車から撤退していることを考えると果たして当時から現実性はあったのか疑わしい。

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