特急はJRだけじゃない! 独自の運転網を築く「近鉄特急」の世界

新幹線開業で変わった近鉄特急

 そして、その前後にデビューしたのが、日本初の2階建て特急電車です。初代10000系や2代目となる10100系は、その眺望の良さなどから大人気に。2階建て特急「ビスタカー」は近鉄の代名詞的存在となります。

 ところが、1964(昭和39)年に東海道新幹線が開業すると、スピードでは全くかなわなくなり、名阪特急の乗客は激減します。それまでは大阪~名古屋間の輸送シェアで70%ほどを占めていましたが、数年後にはわずか10%台となり、ついには全列車が2両編成にまで短縮されてしまいます。

 そこで近鉄は、名阪間や伊勢方面を中心としていた特急輸送から方針を転換し、京都や奈良、吉野といった都市間輸送にも注力しはじめます。こうして、近鉄の特急ネットワークは完成。ビジネスや通勤、観光など、様々な需要に応えられるようになりました。さらに、1970年代後半からは国鉄が相次ぐ運賃値上げを行ったため、名阪特急の乗客も徐々に戻り始めます。

 登場から40年を迎えてなお根強い人気を誇る30000系「ビスタカーIII世」は、1978(昭和53)年にデビュー。1988(昭和63)年には、特別席「デラックスシート」を初めて装備した21000形「アーバンライナー」も運転を開始しました。近年では「2時間あるから、ちょうどいい」という合い言葉の通り、スピードよりも快適性や料金を重視する人たちから、多くの支持を得ています。

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コメント

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1件のコメント

  1. 近鉄特急はなかなかセンスが良くて快適。
    ビスタカーは現在少なくなった。
    あれの2階席は車輪の騒音が少なくて静かだし、階下席は、ホームすれすれの目の高さなので、男性には大変目の保養になると評判の席でした。今は団体客専用になっておりますね。
    何故かはなんとなく想像がつきます。