特急はJRだけじゃない! 独自の運転網を築く「近鉄特急」の世界

名阪特急に新型、フリーゲージトレインも 近鉄特急の今後

 その他にも、先に紹介した「ビスタカー」や、伊勢志摩方面への観光客をターゲットにした「伊勢志摩ライナー」、大阪と吉野を結ぶ「さくらライナー」など、特徴ある車両がいっぱい。随時リニューアルが行われ、サービスが向上されています。

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近鉄伝統の2階建て車両「ビスタカー」。この車両は3代目となる30000系(伊原 薫撮影)。

 さらに、2018年1月には名阪特急に使用される新たな車両が発表されました。2020年春にデビューが予定されているこの車両は、近鉄特急のこれまでのイメージを覆す深みのある赤色が特徴です。

 コンセプトテーマは「くつろぎのアップグレード」で、両先頭車はハイグレード車両とされ、観光特急「しまかぜ」で開発された電動リクライニングや電動レッグレストを備えた本革シートを装備。また、レギュラー車両のシートも前後の間隔をぐんと広げるほか、後ろの乗客に気兼ねなくリクライニングができるよう、バックシェルを備えます。もちろん、電源コンセントも全席に設置。大型の荷物を収容できるロッカーなどの荷物置き場を設置したり、無料Wi-Fiを導入するなど、まさに日本トップクラスのサービスが提供される予定です。

 そしてもうひとつ、2018年5月には気になる発表がありました。それは「フリーゲージトレイン」の実用化に向けた検討を進めるというもの。フリーゲージトレイン(軌間可変車両)は、車輪の間隔を変えて、線路幅が異なる路線に直通できるという車両です。

 近鉄の南大阪線や吉野線などは、線路幅が京都線や大阪線、名古屋線などと異なるため、たとえば京都から吉野へ向かうには、途中の橿原神宮前駅で乗り換える必要があります。これまでに線路幅の統一や、線路を3本敷いて両方の車両が走れるようにするなど、様々な解決方法が検討されてきましたが、今後はフリーゲージトレインについても検討が行われることになりました。

 もっとも、フリーゲージトレインはこれまで九州新幹線での実用化を目指して開発が進められたものの、コストや技術的な課題などから導入が断念されています。こういった課題を果たしてクリアできるのか、気になるところです。一方で、もしこの技術が確立された場合、京都~吉野間の直通特急はもちろん、たとえば名古屋駅で名古屋鉄道(名鉄)に乗り入れ、伊勢志摩エリアと中部国際空港を結ぶ直通列車を運行するといったことも可能になります。

 ひょっとすると、近鉄特急の路線図が大きく変わることになるかもしれないこれらの取り組み。鉄道ファンならずとも、目が離せません。

【了】

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コメント

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1件のコメント

  1. 近鉄特急はなかなかセンスが良くて快適。
    ビスタカーは現在少なくなった。
    あれの2階席は車輪の騒音が少なくて静かだし、階下席は、ホームすれすれの目の高さなので、男性には大変目の保養になると評判の席でした。今は団体客専用になっておりますね。
    何故かはなんとなく想像がつきます。