徹底解説! 都営浅草線5500形 最高速度の向上で乗り入れ路線が拡大へ(写真72枚)

最高速度向上で成田スカイアクセスに対応

 5300形は4号車と5号車に車椅子スペースを設けていますが、5500形では引き続き4、5号車に車椅子スペースを設けたほか、残りの1~3号車と6~8号車には車椅子だけでなくベビーカー、大きな荷物を持った客が利用できるフリースペースが設けられました。

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フリースペースが隣接する部分の袖仕切りは背当てが設置された(2018年6月11日、恵 知仁撮影)。

 なお、通常の袖仕切りは壁に固定する形で設置されていますが、フリースペースとロングシートが隣接している部分は窓ガラスがあるため、袖仕切りも下から伸びるような形状を採用しています。この袖仕切りには背当てが設置され、立ち客が背当てに寄りかかって利用できるようにしました。

 案内装置はドアの上に液晶モニターを2画面設置。英語や中国語などによる多言語案内に対応しています。天井には防犯カメラが1両につき4台ずつ設置されました。このほか、空調能力は従来車より2割ほど強化。空気清浄機も搭載しています。

 モーターは全閉自冷式の三相かご形誘導電動機を採用。制御装置は炭化ケイ素(SiC)素子を用いたVVVFインバーターを採用し、環境負荷の軽減を図ったといいます。5300形は運転最高速度と設計最高速度がともに110km/hでしたが、5500形は運転最高速度が120km/h、設計最高速度が130km/hに向上しました。

 交通局の関係者は最高速度の向上について「将来的に成田スカイアクセスの方で運用されることになっても問題がないようにしました」と話し、最高速度が160km/h(アクセス特急は120km/h)で現在は5300形が乗り入れていない成田スカイアクセス経由でも運転されることになりそうです。

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ドアの上に設置された案内表示装置。
防犯カメラも各車両の天井に設置された。
5500形の運転台。

 5500形は当初、2018年春の営業運転開始を予定していましたが、実際は少し遅れて6月30日(土)にデビューする予定です。関係者は取材に対し「私たちにとっては初体験の技術もあり、調整に手間取りました」と話しました。交通局は今後も5500形を順次導入し、最終的には5300形の全27編成をすべて置き換える方針です。

【了】

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Writer: 草町義和(鉄道ニュースサイト記者)

鉄道誌の編集やウェブサイト制作業を経て鉄道ライターに。2020年から鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』所属記者。おもな研究分野は廃線や未成線、鉄道新線の建設や路線計画。鉄道誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)などに寄稿。おもな著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。

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