列車の「発車時刻」はどのタイミング? 時刻表に書かれていない情報とルール

発車時刻の定義とは

 それでは、時刻表に記載されている時刻はどう定義されているのでしょうか。これは鉄道会社の社内規程である「運転取扱実施基準」に決められており、基本的には各社とも旧国鉄のルールに倣って「到着時刻は列車が所定の位置に停止したとき」「出発時刻は列車が運行を開始したとき」としています。

 ここでいう「運行を開始したとき」とは、列車が動き始める瞬間を意味しています。つまり発車時刻とは、発車のブザーやメロディを鳴らす時刻でも、ドアを閉める時刻でもなく、列車が動き出す時刻のことを指しているのです。当然ドアは、列車が動き出す前に閉まりますから、発車時刻にホームに着いても列車には乗れないということを意味しているのです。

 理不尽だと思われるかもしれませんが、例えば飛行機の出発時刻とは離陸のために搭乗口や飛行機のドアが閉まり、実際に飛行機が動き始めた時刻を指しています。飛行機に乗るためには出発時刻の遅くとも10分前には搭乗口に到着していなければなりません。LCCなど航空会社によっては、さらに前倒しの場合もあります。

 実は鉄道にもそのような時代がありました。1872(明治5)年、日本初の鉄道が開業するにあたって「乗車せむと欲する者は遅くとも此表示の時刻より十五分前に『ステイション』に来り切手買入其他の手都合を為すべし」という案内がされています。列車に乗る者は発車時刻の15分前に駅に来て、きっぷを買うなど準備すべしというのです。さらに列車が遅れないように、発車時刻の5分前に駅の扉を閉ざすとされていました。

 鉄道が身近な乗り物となった現在でも、発車時刻の前に乗降を済ませるという原則は変わっていないということです。

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