列車の「発車時刻」はどのタイミング? 時刻表に書かれていない情報とルール
時刻表にはない「秒」
ただし、時刻表に記載されている発車時刻は必ずしもそのままの数字ではありません。鉄道の発車時刻、到着時刻は実際には秒単位で定められていますが、時刻表では秒を切り捨てた分単位で表記されているためです。つまり発車が「9時00分00秒」でも、「9時00分50秒」でも両方「9時00分発」として記載されることになります。00秒発車の列車は、8時59分45秒ごろから発車メロディが鳴って、8時59分50秒過ぎにドアが閉まります。一方、50秒発車の列車はメロディが鳴るのもドアが閉まるのも9時台です。一般の利用者が目にする情報ではこのふたつの列車を区別することができないのです。
また、都心の駅間距離が短い電車区間では、運転計画(ダイヤグラム)において発車時刻が決められた「採時駅」と、発車時刻が決まっていない「非採時駅」が存在する路線もあります。こうした路線の時刻表は「標準時刻表」と呼ばれ、通常の「発車時刻表」とは異なり、運行状況によって発車時間が前後する可能性のある目安に過ぎません。
そもそもこうした規程は運転本数が少ない時代に作られたものであり、数分間隔で次の列車がやってくる都市圏では、時刻表に縛られることで所要時間が延びたり、遅延を拡大させてしまったりするデメリットもあります。諸外国の地下鉄では、旅客向けの案内表示では細かい時刻表は掲出せず、次の列車が到着するまでの時間を表示している路線も多くあります。日本のJR山手線でも10年ほど前から、ホーム上の時刻表には早朝・深夜の時間しか記載していません。
近年は鉄道会社公式アプリなどで列車の走行位置情報の発信も始まっており、時刻表のあり方自体が変わっていくことも予想されます。
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