中国の鉄道駅にセキュリティチェックが導入されたワケ 空港とは「似て非なるもの」

導入のきっかけは「ある危険物」

――なぜセキュリティチェックが導入されたのでしょうか。

 車内への花火や火薬の持ち込みと、それによる列車の火災事故が多発したからです。1980(昭和55)年、客が持ち込んだ紙雷管が発火して22人が死亡した事故がありました。これをきっかけに国鉄や長距離バス、船、飛行機などあらゆる交通機関で危険品を取り締まることが通知されました。

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検査場は待合スペースの入口すぐそばに設けられていることが多い(2009年7月、草町義和撮影)。

――どうして火災事故が多発したのでしょう。

 かつては貨物列車の予約を取るのが難しく、生産者が花火や火薬を携帯して旅客列車に乗り込み、消費地に運ぶといったことが常態化していました。これに加え、当時は花火や火薬の質が悪くて安全性が低かったこと、さらに火をつけなくても発火する、ある意味では使いやすい花火や火薬が出回っていたため、ひとたび発火すると大きな事故になったのです。いまでは物流の改善とセキュリティチェックの導入により、このような事態は無くなりました。

――空港のようなセキュリティチェックを導入したことで、駅の待合スペースに入るのに時間がかかるようになったのではないでしょうか。

 空港とは似て非なる「簡単な検査」をしているので通過速度は速く、繁忙期でない限りは長く待たされることはありません。「大量の危険品や大きな刃物さえチェックできればよい」と、割り切っているのです。具体的な検査項目は、荷物を丸ごとX線検査機に載せることと、係員によるごく簡単なボディチェックを受けること。現地のセキュリティチェックの様子を撮影したニュース映像などを見ても、3秒にひとりのペースで通過しているのが分かります。

 ただ、利用者の多くは駅の入口でセキュリティチェックがあることを見越し、余裕をもって早めに駅に来るようになりました。チェックそのものの時間は短くても、駅に到着してから列車に乗るまでの時間が全体として増えたのは確かです。

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コメント

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4件のコメント

  1. 北京とかでは、地下鉄でもX線を使ったセキュリティチェックやっていますが、どうもまともにチェックしている様にも思えず、きっとあれは雇用対策の意味の方が大きいのではないかと思いました。

  2. 余裕をもって10分早く駅に来る乗客が増えたら日本の鉄道はサービス水準を維持できない。この指摘に衝撃を受けたよ。

  3. 手軽かつ厳格なボディチェックにしてくれないと困る

    • 矛盾した文章ですね。