ドライバーの眠気、同乗者の有無で変わる? 知っておきたい助手席の作法

そもそもなぜ眠くなる 助手席の人はどう振る舞うべき?

――そもそもなぜ眠くなるのでしょうか?

 視覚や聴覚といった感覚器からの刺激は、脳幹網様体(のうかんもうようたい)という器官を通して脳の各所へ伝えられますが、感覚刺激が減少すると、この脳幹網様体が刺激されなくなり、ひいては脳全体の覚醒水準が低下して眠くなっていきます。

 たとえば、人は光も音もない環境で生活すると、すぐに眠くなります。これは「感覚遮断実験」という意図的な実験の結果ですが、刺激がある環境であったとしても、高速道路走行中のエンジン音やタイヤの摩擦音といった単調な刺激ではあまり効果がなく、感覚遮断のような状況に陥ってしまうこともあるのです。

――助手席の人はどう行動すればよいのでしょうか?

 ある程度のコミュニケーションを取れば、眠いドライバーには何らかの効果を与えます。「眠くない?」などと問いかけ、それに答えるといったやり取りもよいことです。また、たとえば飲食物を口にすれば、それを噛むことで刺激がもたらされますし、冷たい・熱いといった感覚も脳の活性化につながります。

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 ただし、こうした眠気対策は一時しのぎにしかならないと、太田さんは付言します。

「眠気には疲労も大きく関係します。疲労を回復するには、同じ作業をせず中断すること、つまり運転作業から離れることが有効です。ゆっくり休む環境にない長距離ドライバーなどは、SA/PAで10分から15分程度休んだり、外気に当たって体を動かすだけでもよいでしょう」(太田さん)

 ちなみに、景色が単調で運転操作が少ない高速道路では、疲労や睡眠不足の状態でなくても意識がもうろうとすることがあるとされ、この現象は「高速道路催眠現象(ハイウェイヒプノシス)」と呼ばれています。太田さんによるとこれも、刺激の少ない環境で眠くなってしまうことと同じ原理だそうです。

【了】

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