MRJ、成功の目はまだあるか 他社動向とカギになる「スコープクローズ」とは

苦境が伝えられる三菱航空機の新型旅客機「MRJ」ですが、ライバル他社の動向やこれらを取り巻く情勢を俯瞰すると、実はまだまだ成功の目は残されているといえるかもしれません。

ショー期間中の受注ゼロ、ライバルと明暗分けるも…?

 デモフライトでは「E-Jet2」シリーズと互角の戦いを見せた「MRJ」ですが、「ファンボロー国際航空ショー」の期間中に航空会社から、新規受注を獲得することはできませんでした。ショー期間中にエンブラエルは、アメリカのリパブリック航空から、「E-Jet2」シリーズの最小型でMRJと競合する「E175-E2」への変更が可能な「E175」100機の確定受注を獲得し、さらに同社との間で100機の「E175」を追加購入する権利の獲得についても覚書を交わしており、これに比べると、寂しい結果に終わった感があることは否めません。

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MRJのライバルである「E-Jet2」の「ERJ190 E-2」(竹内 修撮影)。

 ただ、三菱航空機は7月17日に行なわれた記者会見でも、「MRJ」がエンブラエルをはじめとするライバル会社の旅客機に対して十分な競争力を持っているとの見解を示しています。その根拠のひとつとして、同社は「スコープクローズ」の存在を上げています。

「スコープクローズ」は、アメリカの航空会社とパイロットの労働組合の協約のなかにある条項で、近距離を結ぶ「リージョナル航空路線」で使用する航空機の座席数と大きさ、重量の制限を定めたものです。

 アメリカでは大都市間を結ぶ基幹路線はアメリカン航空、ユナイテッド航空、デルタ航空の三大大手航空会社が自社で運航し、大都市から中小都市を結ぶリージョナル路線は、リージョナル路線での運航を専門とする航空会社に運航を委託しています。リージョナル航空会社はエンブラエル「E-Jet」や、ボンバルディアの「CRJ」といった、座席数100席以下の小型旅客機、いわゆる「リージョナル旅客機」を運航していますが、もしリージョナル航空会社が「E-Jet」や「CRJ」よりもサイズの大きい、ボーイングの「737」や、エアバスの「320」といった座席数100席以上の旅客機を運航した場合、大手航空会社のパイロットの仕事が失われる可能性があることから、リージョナル旅客機の座席数と大きさ、重量に制限を設けて、自分たちの仕事を守っているというわけです。

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