対怪獣のお約束「多連装ロケットシステム」の広がりゆく役割 島しょ防衛で艦載運用も

湾岸戦争で大火力を発揮したことで知られ、映画『ゴジラ』シリーズにも幾度か登場する「多連装ロケットシステム」。最初の量産モデルが登場しておよそ40年、担う役割も広がっており、総火演でもその一端が垣間見られました。その変遷を解説します。

広範囲攻撃からピンポイント攻撃へ

 1980年代に登場したM270は、現在までさまざまな種類のロケット弾を運用してきました。なかでも代表的なのがM26ロケット弾です。M26は、内部におよそ600個もの子爆弾を収容し、それらを上空からばらまくことによって広大な範囲を攻撃することができるロケット弾です。

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アメリカ陸軍のM270。陸自のものとは見た目が少し異なる(画像:アメリカ陸軍)。
M270の重量はおよそ25tで、空輸には大型輸送機が必要(画像:アメリカ陸軍)。
2018年の富士総合火力演習にて、陸上自衛隊の多連装ロケットシステム 自走発射機M270の後背(2018年8月23日、乗りものニュース編集部撮影)。

 陸上自衛隊でもこのM26を長らく運用してきました。しかし、2010年(平成22年)に効力が発生した「クラスター弾に関する条約(クラスター爆弾禁止条約)」の当事国として日本も名を連ねることとなったため、日本はこの条約に従ってクラスター弾に該当するM26の運用を終了し、これを廃棄することとなりました。現在日本は、このM26にかわってM31というロケット弾を運用しています。

 M31は、M26のような子爆弾方式ではなく、ひとつの大きな弾頭によって敵を攻撃するもので、M26の攻撃範囲を面とすれば、M31の攻撃範囲は点ということになります。M31の最大の特徴はその射程とGPS誘導による精密攻撃能力で、M31は約70km先の目標を、GPSによる誘導を受けて誤差わずか十数メートルというレベルでのピンポイント攻撃を行うことが可能なのです。

 また、アメリカ陸軍は、このM31をもしのぐ射程を誇る「ATACMS(エイタクムズ、陸軍戦術ミサイルシステム)」とよばれるミサイルを運用しています。この「ATACMS」の最大射程は約300kmで、しかもM31と同様GPS誘導によって高精度なピンポイント攻撃能力を有しています。こうしたピンポイント攻撃能力は、国家同士の戦争においてももちろん重要ですが、対テロ戦争にみられるような、民間人と敵が入り乱れているような市街地などの戦場における、民間人への被害を最小限に抑えることができるといった点からも非常に重要な能力です。

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