対怪獣のお約束「多連装ロケットシステム」の広がりゆく役割 島しょ防衛で艦載運用も

湾岸戦争で大火力を発揮したことで知られ、映画『ゴジラ』シリーズにも幾度か登場する「多連装ロケットシステム」。最初の量産モデルが登場しておよそ40年、担う役割も広がっており、総火演でもその一端が垣間見られました。その変遷を解説します。

イラク軍から「ゴジラ」まで 実戦でも活躍するM270

 大砲などが届かないような遠く離れた場所に敵が存在する場合、これを攻撃するためにはどのような手段を用いればいいのでしょうか。実はそれに対するひとつの答えとなる装備を、陸上自衛隊は保有しています。それが「M270多連装ロケットシステム(MLRS)」です。

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ロケット弾を発射するアメリカ陸軍のM270多連装ロケットシステム(画像:アメリカ陸軍)。

 M270は、アメリカで開発されたロケット砲システムで、一度に多数のロケット弾を発射することにより、遠くにいる敵を素早く広範囲にわたって攻撃することができます。M270の車体は非常にシンプルながら武骨な外見で、乗員3名が座る座席をおさめる装甲に覆われたキャビンと、その後ろに最大12発のロケット弾を搭載可能な旋回式発射装置が設置されています。M270は装軌式(いわゆるキャタピラー)の車両で、不整地への展開などもおこなえます。

 M270は、アメリカ陸軍を中心としてドイツやイギリス、さらにイスラエルなど世界10か国以上で採用されています。日本でも、1990年代から陸上自衛隊への配備が始まり、現在までに99両が調達されました。

 M270はすでに実戦も経験しています。1991(平成3)年の湾岸戦争では、アメリカ軍などがイラク軍に対してM270で攻撃を行い、非常に大きな戦果を挙げています。また、その後のイラク戦争や、現在でも続いているアフガニスタンでの対テロ戦争にもM270が投入されています。

 さらに、最近M270は日本でも大活躍しました。もちろん、実戦でということではありません。2016年に公開され、大ヒットを記録した映画『シン・ゴジラ』の劇中において、多摩川に差し掛かったゴジラを、静岡県の東富士演習場に展開したM270がロケット弾で攻撃したのです。残念ながら、この自衛隊の攻撃ではゴジラを食い止めることができませんでしたが、M270から炎と煙を噴射してロケット弾が飛んでいく様子は、観客に大きなインパクトを与えたことでしょう。ちなみに、実際にM270を運用する陸上自衛隊の隊員の方にうかがったところ、劇中に登場した発射装置の角度では、東富士演習場から多摩川までロケット弾を飛ばすことはできないそうです。

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