対NBC最後の砦! 「装甲」に意味がある緊急車両、陸自の化学防護車&NBC偵察車とは?(写真13枚)

一見ただの装甲車、実は侮れないNBC車両

 このように陸上自衛隊には、全国に16個の特殊武器防護隊/化学防護隊があるのですが、それら部隊の専用車両として導入配備されているのが化学防護車とNBC偵察車です。

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赤色灯を回転させながら観閲行進する化学防護車(柘植優介撮影)。

 化学防護車は1987(昭和62)年から導入されている6輪式装甲車で、82式指揮通信車をベースに車体の各所に鉛板を封入し車体の密閉度を上げて、NBC兵器で汚染された地域でも活動できるようになっているのが特徴です。車体後部には乗員が降りずにサンプルが採取できるようマニピュレーターが装備され、車体上部には各種検知装置が搭載されています。

 NBC偵察車は化学防護車の後継として開発された新型のNBC対応車両で、2012年度から配備が進められており、外観的には8輪式の大型車体であることが特徴です。また各種検知機材は新型のものとなり、車内も化学防護車よりも格段に広く、将来的に新装備を増設するのにも対応できるようになっています。またサンプル採取は高度な操作技術が必要なマニピュレーターではなく、使いやすさを重視したゴム手袋とマジックハンドの組み合わせに変更されています。

 これらは陸自装甲車として防弾車体に迷彩塗装という外観ですが、なんと赤色灯とサイレン、拡声器も装備しています。なぜ装甲車なのにこれらが搭載されているのかというと、それはNBC対処が戦争だけでなく、テロや事故でも想定されるからです。

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化学防護車は密閉性を保つ必要があるため、赤色灯と拡声器の電源のとり回しは、消防車などのように屋根に穴を開けるわけにはいかず外側を這わせている(柘植優介撮影)。
化学防護車は四半世紀に渡って少数ずつ調達されたため、生産時期によって赤色灯や拡声器の形状も異なっている(柘植優介撮影)。
2016年までは化学科部隊は男性限定だったが、2017年から女性隊員が配置されるようになっている。2018年7月久里浜埠頭のPSI訓練にて(柘植優介撮影)。

 実際、前述したように過去実動したのは全てテロや事故です。だからこそ、緊急走行できるように赤色灯や拡声器などを装備しているのですが、これらは地下鉄サリン事件の時はありませんでした。以前は1 1/2t 救急車や警務科車両などは緊急自動車指定を受けていたのですが、JCO東海村臨界事故などの教訓から化学防護車も緊急自動車の指定が受けられるようになり、そして後継として開発されたNBC偵察車も同様の扱いを受けているのです。

 とはいえ、赤色灯は戦闘時には非常に目立ちますから、演習などでは濃緑色のカバーなどで擬装されます。

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コメント

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1件のコメント

  1. ガメラ2冒頭で札幌市郊外に墜ちた隕石の調査のため出動した科学部隊の先頭にいた科学防護車。
    頼もしさを感じたなあ。
    あるイベントで中を見せてもらって、あまりの狭さに96式装甲車あたりをベースにして…と言ってしまったw
    より能力向上したNBC偵察車になってなにより。