対NBC最後の砦! 「装甲」に意味がある緊急車両、陸自の化学防護車&NBC偵察車とは?(写真13枚)

緊急自動車の指定を受けるには

 なお、緊急自動車は公安委員会の指定を受けなければなれません。赤色灯やサイレン拡声器などを装備すれば自動的に認定されるわけではなく、しかもおおむね各組織で緊急自動車の台数が決められているのです。そのため、警察や消防といった緊急自動車の保有台数が多い組織でない場合は、それまで緊急自動車指定を受けていた車両の入れ替えなどで新車を導入する際に、更新として指定してもらうしかないのです。最近では自衛隊車両に関しては拡充されるようになってきていますが、それでも指定を受けるまでは緊急自動車として用いることはできないため、NBC偵察車が部隊配備されたばかりの頃は、赤色灯や拡声器を装備していない車体も見受けられました。

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陸自に配備された当初のNBC偵察車。まだ赤色灯や拡声器は装備されていない。2012年6月、大宮駐屯地にて(柘植優介撮影)。

 ちなみに道路交通法では、緊急自動車に誘導されている自衛隊用車両は、緊急自動車の指定を受けていなくても(要は赤色灯や拡声器がなくても)緊急自動車とみなすとされているため、緊急を要する際に緊急自動車指定を受けている化学防護車やNBC偵察車が先導すれば、後続の高機動車や3 1/2t大型トラックなども緊急走行可能です。また、当然パトカーが先導する場合、その自衛隊の車列は緊急自動車とみなされます。

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大型トラックの荷台に専用シェルターを搭載した生物偵察車。本車も緊急自動車の指定を受けており、赤色灯と拡声器、サイレンを装備する(柘植優介撮影)。
中央特殊武器防護隊本部中隊にのみ配備されている粉末散布車。要は濃緑色の大型化学消防車で、本車も緊急自動車の指定を受けている(柘植優介撮影)。
濃緑色の車体ながら緊急自動車に指定された1/2tトラック。これは警務科車両ではない(柘植優介撮影)。

 今回は化学防護車とNBC偵察車にスポットを当てたため、緊急自動車指定の詳細や緊急走行時の運転ルールなどは省きましたが、意外に普通の濃緑色の1/2tトラックでも緊急自動車指定を受けているものが存在します。

 それは、化学科や警務科の部隊に限らず普通科や特科、機甲科を始めとした他職種の部隊にも配備されているのです。この車両はオリーブドラブ色のボディに赤色灯とサイレン、拡声器を装備しているので、「自衛隊の警察車両」すなわち警務科車両と勘違いされることもありますが、これは一般部隊の緊急自動車指定車両です。なので陸上自衛隊の緊急車両は、実は全国の駐屯地/部隊に広く配備されているポピュラーなものなのです。

【了】

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コメント

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1件のコメント

  1. ガメラ2冒頭で札幌市郊外に墜ちた隕石の調査のため出動した科学部隊の先頭にいた科学防護車。
    頼もしさを感じたなあ。
    あるイベントで中を見せてもらって、あまりの狭さに96式装甲車あたりをベースにして…と言ってしまったw
    より能力向上したNBC偵察車になってなにより。