ステルス機はなぜ見えないのか? 実は少し見えてる、レーダーをあざむく技術の基本

ソ連生まれアメリカ育ちの、実は古い技術

 面白いことに、このステルスの根幹ともいえる形状制御の理論を世界ではじめて論文にまとめ発表した人物は、ソ連のピョートル・ウフィムツェフという物理学者でした。ところがソ連では、ウフィムツェフの論文の重大さが理解されず公開されつづけ、皮肉なことに敵国であったアメリカがこれに注目し開発したF-117によって、初めてその正しさと重要性が世界に認知されることになります。

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形状制御の本家であるロシアのSu-57の原型機T-50。ステルス戦闘機がどれも似ているのは同じ思想で設計されたが故であり偶然ではない(関 賢太郎撮影)。

 かつては飛行機を飛ばすための航空力学と、ウフィムツェフの形状制御理論を両立させることが困難でした。ゆえに最初の実用機F-117は、計算を単純化するため飛行性能をあえて捨て、角ばった特異な設計となりました。その後ノウハウの蓄積やコンピューター処理能力の向上によってソフトウェア上で比較的簡単にシミュレーションできるようになったことから、高い飛行性能を要求される戦闘機にも形状制御を盛り込むことが可能となり、F-22やF-35の開発に繋がります。ウフィムツェフの論文は1962(昭和32)年に発表されました。形状制御はもはやある程度確立された「古い技術」であると言えるでしょう。

 ただしレーダーによる被探知を最小限とする形状制御は、ステルスを実現するための一手段でしかありません。せっかく形状制御を盛り込んでも自分自身がレーダーを使ってしまえば、その電波を逆探知されすべてが台無しになってしまいます。

 ステルス機はできるだけレーダーを使わない必要があり、例えば4機編隊ならば2機はレーダーを使うが残る2機は静粛を保つ、もしくは空中警戒管制機を頼るなどのネットワークシステムがとても重要となります。そしてこのようなネットワークによる情報共有はアメリカに一日の長があるとみられ、広い意味でのステルスは中露のような後追い勢よりも、F-22やF-35が勝っているとみても良いかもしれません。

【了】

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