島しょ奪還、実際どう上陸する? 陸自AAVこと水陸両用車 総火演に見るその手順

2018年の「総火演」こと「富士総合火力演習」に登場した、陸上自衛隊のAAVこと「水陸両用車」ですが、どういった場面での活用が想定されているのでしょうか。総火演での展示を元に解説します。

総火演の舞台を駆ける離島防衛の要

 毎年、静岡県御殿場市にある東富士演習場では、陸上自衛隊の実弾演習を見学することができる「総火演」が行われています。戦車などの装備品が実弾を射撃する場面を間近にみることができるため、来場者は年々増え続けています。

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12.7mm重機関銃の射撃を行う、人員輸送型のAAV(矢作真弓撮影)。

 陸上自衛隊最新装備品である「16式機動戦闘車」の登場に注目が集まった2018年の総火演ですが、実はもうひとつの目玉がありました。それが「AAV」こと「水陸両用車」です。

 AAVは、敵が占領する日本の離島に、奪還部隊を送り込むために陸上自衛隊に配備されました。沖合いに停泊する海上自衛隊の輸送艦から発進したAAVは、陸上自衛隊の水陸機動連隊の隊員を乗せ、上陸適地と言われる、上陸することができる砂浜などに向かって自ら航行しながら進んでいきます。上陸前には、敵からの攻撃を回避するために、発煙弾や発煙装置によって大量の煙を発生させて、自らの姿を隠しながら砂浜に接近していきます。

 ただし、敵も黙ってAAVの上陸を見ている訳ではありません。AAVの海上航行スピードは時速13km/h程度なので、洋上を進むAAVは敵からすれば良い的になります。そのため、AAVが上陸する前には、海空自衛隊による支援が必要になります。

 島しょ防衛をテーマに行われた総火演では、AAVの上陸前に、航空自衛隊のF-2戦闘機による対地攻撃が行われました。最初の目標は敵の対空火器です。対空火器は空を飛ぶ戦闘機やそのほかの航空機を攻撃するために設置される防空兵器です。敵がこれを装備していると、自衛隊の戦闘機などは、目標まで近寄ることができません。そのため、航空自衛隊のF-2戦闘機は、対空火器の射程圏外から精密誘導爆弾を投下して、対空火器を攻撃します。実は、この精密誘導爆弾を誘導する陸上自衛隊の部隊も存在します。それが火力誘導班です。

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