空対空ミサイル60年、台湾に始まるその歴史とは ガラリと変わった「戦闘機のあり方」
AIM-9Bが変えた戦闘機のありかた
そのようなAIM-9Bがなぜ6発中4発も命中したのかというと、中国空軍側のMiG-17が背後の敵機に気付かず水平飛行していたからでした。しかし、それでもAIM-9Bが空中戦の歴史に与えた衝撃はすさまじいものがあり、世界中で機関砲軽視・空対空ミサイル重視のブームが発生し、機関砲を搭載しない戦闘機が多数開発されます。
なぜ機関砲が軽視されたのかというと、機関砲は驚くほど当たらなかったためです。F-86Fが搭載する12.7mm機関砲は第二次大戦中の戦闘機にも搭載されていましたが、この12.7mm機関砲における1機撃墜あたりの機関砲消費弾数は約1万5000発でした。ごくごく一部の天才的エースパイロットを除いた平凡なパイロットが発射した機関砲弾は、文字通り「万が一」にしか命中しなかったのが実情でした。
機関砲の射角はわずか0.4度、射程距離は500m以下であり「水平飛行している相手にすら当たらない」ため、それに比べればAIM-9Bは「条件が整っていれば当たることもある」ようになったのですから、まさしく革命的とさえ言えました。
1960年代から70年代ごろになると一時期機関砲の価値は再認識されるものの、それも一時でした。1960年代後期に登場したAIM-9D/Eといった第二世代型サイドワインダーは誘導性能が大幅に改善され、ベトナム戦争や第4次中東戦争において実戦投入されると撃墜戦果の大部分は空対空ミサイルで占められるようになります。
「遷移」→「占位」ですよね。
ロックオンと言うと言うロマンを殺すオフボアサイト