空対空ミサイル60年、台湾に始まるその歴史とは ガラリと変わった「戦闘機のあり方」

戦闘機の空対空誘導ミサイルが実戦投入されて、2018年で60年を迎えました。工夫を重ね向上した性能のおかげで、現在では撃てばほぼ当たるほどです。台湾空軍に始まるというその歴史を解説します。

機関砲は風前の灯に?

 そして1970年代末期に登場したAIM-9L第三世代型サイドワインダーはまさに化け物であり、赤外線検知器が著しく高性能化され常温の機体外周部が発する微弱な中赤外線も探知できるようになり、戦闘機の攻撃能力は「相手の後方へ遷移しなくても撃て、しかも全力で回避機動している相手にもほぼ当たる」ようになります。1982(昭和57)年、イスラエル空軍とシリア空軍が交戦した「ベッカー高原上空戦」では、濃尾平野程度の広さしかない空間に対して4日間延べ1000機にも及ぶ戦闘機が激突する高密度の空中戦が勃発するも、おもにAIM-9Lを搭載したイスラエル空軍のF-15やF-16はシリア空軍機84機を撃墜し損害ゼロという圧倒的な戦果を記録しています。

 第四世代型サイドワインダーであるAIM-9Xでは、照準可能な射角は自身の真横に相当する180度に拡張され、そして現行型のAIM-9X-2では360度となりました。AIM-9Xのような前方から大きく外れた方向へ照準する能力を「オフボアサイト攻撃能力」と呼びます。

Large 20180924 01
イギリス空軍のユーロファイター「タイフーン」。27mm機関砲口が物理的にふさがれてしまった。射撃訓練自体実施していない模様(関 賢太郎撮影)。

 いまやよほどの旧式機でないかぎりオフボアサイト攻撃能力を持った空対空ミサイルの搭載は当たり前となっており、空中戦における機関砲はほとんど過去のものとみなされつつあるようです。特にイギリス空軍のユーロファイター「タイフーン」などは1960年代から70年代の機関砲再認識後の価値観で設計されているため、27mm機関砲こそ搭載していますが、物理的に発射口が塞がれてしまい使用していません。

 とはいえ、機関砲には平時における警告射撃や対地攻撃においてミサイルや爆弾では強すぎる場合など空中戦以外における価値は依然として高く、F-35のうちA型は機関砲を標準搭載していますし、F-35B/C型は機内にこそないものの、対地攻撃用に機関砲ポッドを外付けすることができます。

【了】

この記事の画像をもっと見る(4枚)

最新記事

コメント

2件のコメント

  1. 「遷移」→「占位」ですよね。

  2. ロックオンと言うと言うロマンを殺すオフボアサイト

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  4. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  5. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス