それでも「オスプレイ」が欲しいワケ すでにある大型輸送ヘリと併用したい陸自の思惑

大型輸送ヘリ「チヌーク」の立場は?

 しかし、陸上自衛隊には、CH-47「チヌーク」という大型輸送ヘリコプターが存在しています。こちらも多くの人員や物資を搭載することが可能で、高機動車などのクルマも機内に搭載して空輸することができます。陸上自衛隊が想定している任務において、「チヌーク」では何か足りないのでしょうか。

Large 180828 heli 02 Large 180828 heli 03 Large 180828 heli 04

拡大画像

拡大画像

拡大画像

降着地点に向かってアプローチしてくる「チヌーク」。これは冬季迷彩を施された機種(矢作真弓撮影)。
「チヌーク」から降ろされる高機動車。「チヌーク」はこうした機内積載力が「オスプレイ」よりも勝る(矢作真弓撮影)。
高機動車と120mm迫撃砲を吊下げながら進入してくる「チヌーク」(矢作真弓撮影)。

 陸上自衛隊は「チヌーク」を2018(平成30)年3月末の段階で全56機保有しています。大型の貨物室にはクルマやけん引された迫撃砲などを搭載することができ、機体の底にスリングロープを引っ掛けて、クルマや装備品を機外空輸することもできます。

 また、「オスプレイ」は「チヌーク」と比較して機内スペースは狭く、たとえば陸自の高機動車をなかに乗せることはできません。貨物室には「オスプレイ」の場合23名が搭乗できますが、「チヌーク」は最大55名まで搭乗することができます。また、最大で約11tまで吊り上げられる「チヌーク」に対して、「オスプレイ」は最大で約6tです。

 このように、「チヌーク」に軍配があがる点もあるのですが、「オスプレイ」は「チヌーク」にはない特徴を持っています。それが飛行速度と航続距離です。

 陸上自衛隊は、島しょ防衛を主眼に様々な防衛施策を組んでいます。この島しょ防衛では、迅速に部隊を輸送することが求められるのです。そこで登場するのが、「オスプレイ」なのです。

 島しょ防衛において陸上自衛隊は、最初に行動する部隊を「即応展開部隊」と名付けています。

 日本の離島数は全部で6852島です。このなかで、島しょ防衛で想定される島は鹿児島県の531島と沖縄県の270島のうちのどこかであるとされます。この801島に、敵の上陸を待ち受ける部隊を展開させておくことは現実的ではありません。なぜならば、そこまで自衛隊の部隊は多くないからです。

 敵が上陸してくるであろう島もある程度の目星はついていますが、事前に防御部隊を配置してしまうと周辺諸国の感情を逆撫ですることになるので、積極的な配備は行わないでしょう。

この記事の画像をもっと見る(9枚)

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

2件のコメント

  1. この記事おかしい。陸自がオスプレイを欲しがってないのは軍事関係者では有名。あ上が勝手ににきめたし買ってくれるの断ると後が怖い。それにオスプレイ導入が他の航空隊に皺寄せきてる。予算人員あらゆること。

  2. 固定翼機の地上攻撃で安全確保できるレベルの脅威なら、なんでそこまで価値のない離島奪還を急がにゃならん?水陸機動部隊と一緒に突っ込ませるならそもそもオスプレイの速度も航続距離もいらないよね?