「復活」「丸」「充電」など 丸ノ内線の新型車両「2000系」注目ポイントを見る(写真57枚)
まもなくデビューする東京メトロ丸ノ内線の新型車両「2000系」。現在使われている電車とはデザインが大きく異なるだけでなく、サービス面などでもいまの時代にあわせた進化が見られます。おもな注目ポイントをまとめました。
昔懐かしいデザインと新しいサービスが合体
池袋~大手町~新宿~中野坂上~荻窪間(本線)24.2kmと中野坂上~方南町間(方南町支線)3.2kmで構成される東京メトロ丸ノ内線で、2019年2月から新型車両の2000系電車が営業運転を始めます。同線に新型車両が導入されるのは約30年ぶりです。
最初に完成した編成は2018年10月、報道陣に公開されました。注目のポイントはおもに4つあります。
ひとつは「昔の丸ノ内線」です。1996(平成8)年までに引退した旧型電車を復活させたようなデザインで、赤い車体に白い帯を配置。白い帯の上には「サインウェーブ」と呼ばれる波模様を重ねるように描いています。ホームドアの設置駅でも見えやすいよう、白帯と波模様の装飾は窓の上に設けられました。ちなみに車内の壁は薄いピンク色ですが、これも旧型電車の壁の色に由来しています。
ふたつ目は路線名にちなんで「丸」をモチーフにしたデザインを採り入れたこと。編成の先頭は丸みを帯びた形をしていて、東京メトロの車両では初採用の円形窓(丸窓)も設置。車内も球面の天井パネルを設けるなどしています。
サービス設備でとくに注目されるのが、3点目の「コンセント」です。車内のフリースペースに、携帯電話やスマートフォンなどの電子端末に充電するためのコンセントが設置されました。国土交通省の『鉄道統計年報』(2015年度)によると、丸ノ内線を利用する人の乗車距離は平均で4.9km。時間にしてせいぜい10分くらいですから、充電できる電気の量も知れています。
とはいえ、急ぎのメールを送ろうとしたらバッテリーが切れていたなどの「非常事態」が発生した場合、ちょっとだけ充電したいと考える人も多いでしょう。2000系のコンセントは、そのような状況をイメージして導入されたのです。
最後の4点目は「安全・安定」です。台車は振動や騒音が少ないタイプを採用。停電時に自力走行するための非常用バッテリーや、脱線した場合に列車を自動的に停止させる検知装置を搭載するなど、トラブルに強い車両を目指しています。
【了】
Writer: 草町義和(鉄道ニュースサイト記者)
鉄道誌の編集やウェブサイト制作業を経て鉄道ライターに。2020年から鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』所属記者。おもな研究分野は廃線や未成線、鉄道新線の建設や路線計画。鉄道誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)などに寄稿。おもな著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。
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