幸運なセントレアの787、2号機は…? 世界の名機も大半スクラップ、保存航空機の現状

伝説の超音速旅客機は20機中18機を展示

 量産に至らず試作機の製造で終わった航空機や、量産はされたものの生産数が少ない航空機は、希少価値があることから博物館などで展示されるケースが多くなっています。

 イギリスとフランスが共同開発した超音速旅客機「コンコルド」は、試作機を含めて20機しか製造されませんでしたが、2000(平成12)年7月25日にフランスで墜落した1機と、スペアパーツを取るために解体された1機を除いた18機が、博物館や空港で展示されています。

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ニューヨークのイントレピッド海上航空宇宙博物館に展示されている「コンコルド」(竹内 修撮影)。

 ただ、試作機や少数生産機のすべてが大切に保存されているという訳でもありません。カナダが1950年代に開発したアブロ・カナダCF-105「アロー」は5機の試作機が製造されましたが、開発中止の決定後全機がスクラップとして処分されてしまい、機首部と主翼の一部、搭載していた「オレンダ・イロクォイ」ターボジェット・エンジン1基のみが、カナダ航空宇宙博物館に展示されるにとどまっています。

 現在海上自衛隊が運用している「US-2」救難飛行艇を開発・製造している新明和工業が1960年代に開発した対潜飛行艇「PS-1」は23機が製造されましたが、展示機として保存されていた3機のうち、熊本県の水族館「天草パールセンター」に展示されていた機体は、維持管理が困難なことから解体が決定。また10月9日付の中国新聞は、山口県周防大島町に展示されている機体も、維持管理の難しさから、展示の継続が困難になっていると報じています。

 前述のように試作初号機が航空科学博物館に展示されている「YS-11」もまた、その量産初号機は国立科学博物館が引き取り、羽田空港内の格納庫で保存されていますが、上野の科学博物館には展示スペースが無く、またビジネスジェットの駐機場工事に支障を来たすとの理由から、以前は行なわれていた一般公開も2015年を最後に途絶えています。

 大きな展示スペースが必要で、維持管理費も高くつく航空機の保存・展示が困難なのは確かですが、民間機・自衛隊機を問わず国産航空機は貴重な産業遺産であり、官民が協力して、1機でも多くの国産航空機を後世に残すことを、願わずにはいられません。

【了】

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コメント

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2件のコメント

  1. 関係のないタグを大量につけるのやめろよ。
    メルカリ中級者かよ。

  2. 世界最大級の空港の代償に思いを寄せる