南極観測船「しらせ」がなぜ被災者支援? 北海道地震、実は「偶然居合わせたから」

「平成30年北海道胆振東部地震」に関する自衛隊の被災者支援活動のなかに、「しらせ」の名前がありました。なぜ南極観測船として知られる同船が北海道で支援活動に従事していたのかというと、実はたまたまそこに居合わせたから、という理由でした。

支援活動のさなかの「しらせ」、艦内の様子は…?

「しらせ」が行った災害派遣活動は、被災者への給食支援、入浴支援、携帯電話などの充電サービス、そして医療相談などでした。

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「しらせ」の浴場。シャンプーなども備え付けられている(矢作真弓撮影)。

 給食支援では6日のうちに、おにぎり約2100個を船内で握り、陸上自衛隊の支援を受けて、被災地となった安平町やむかわ町に送り出しました。

 入浴支援では避難所と「しらせ」のあいだに、陸上自衛隊などのマイクロバスがシャトルバスとして両者を結び、多くの被災者が入浴に訪れたそうです。このとき、普段は観測隊の公室として使われている部屋が住民に解放され、そこでは「しらせ」のスタンプやパンフレットなどが用意されていました。各テーブルには延長コードが設置され、持参した充電器を繋げば、携帯電話などの充電もすることができます。

 公室の奥には「しらせ」乗員の海上自衛隊衛生隊員たちによる医療支援も行われていました。ただし、本格的な医療行為をするわけではなく、あくまでも健康相談程度のことを行ったそうです。

 そのような活動のさなかにもかかわらず、取材を申し込むと、「しらせ」側は快諾してくれました。案内してくれたのは「しらせ」通信長の竹内1等海尉(取材時)です。

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内に入ってすぐにある受付台の番号札(矢作真弓撮影)。
観測隊公室の全景。入浴開始時間には多くの被災者がここに集まる(矢作真弓撮影)。
船内の様子。女性用の浴場は観測隊浴場が使われた(矢作真弓撮影)。

 船内に入ると、まず目に付いたのは入浴者を管理する受付テーブルと番号札でした。ここで受付を済ませ、番号札を受け取ると、さらに奥に案内されます。

 奥には観測隊公室があり、「しらせ」利用者はそこを休憩所として使えるようになっていました。観測隊公室は、観測隊が会議や食事などをする場所となっていて、航海中は常に利用されている部屋だそうです。

 浴場に移動するには、エレベーターを使います。実は、海上自衛隊の艦艇で人員用のエレベーターが付いているのは「しらせ」だけのレアなものだそうです。

 案内されたのは「第2士官浴室」でした。入り口には洗濯機と乾燥機も備え付けられています。ただし、乾燥は時間がかかるため、被災者の利用は洗濯機のみに制限されているそうです。

 浴室は広く、一度に6名ほどが利用できるようになっています。海上自衛隊の艦艇のお風呂というと、海水を温めた湯船に浸かると聞きますが、「しらせ」では真水が使用されています。

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コメント

2件のコメント

  1. >武器庫

    64式は載ってるんだろうけど、大型動物用の猟銃は載ってるんだろうか?

    JAL初のDC-8はフライトに当たって不時着時のサバイバル用に猟銃を載せてたそうだけど。

    >海自唯一のエレベータ

    昔の戦艦のような高さの艦橋がないからか。

    • 南極のニンゲンを狩ってたりしてw