3両の路面電車が交差「トリプルクロス」 奇跡の瞬間は高知の新たな観光資源となるか

「何事もない」ときは見られない? まさに奇跡の産物

 通常のダイヤで所定時間に交差点に進入するのは、次の便です。

 まず1両目は「北から西へ」の電車です。高知駅前8時6分発の枡形行きが桟橋線から右折して渡り線に入り、伊野線に進入し、8時12分にはりまや橋停留場に着きます。2両目は、「西から北へ」の動き。枡形8時3分発の高知駅前行きが、8時11分にはりまや橋を出発すると、左折して渡り線に入り、桟橋線(高知駅方面)へ進入します。

 そして、運行状況によって同時刻に交差することがある3両目が、「東から南へ」の電車です。後免町7時33分発の桟橋車庫前行きが、8時9分にデンテツターミナルビル前を出発し、左折して渡り線に入り、桟橋線(桟橋方面)へ進入します。

 この電車は本来なら、8時11分にはりまや橋へ到着するので、8時11分には交差点を通過し終わっています。しかし、後免町を始発とするこの便は、ラッシュ時の街中を40分近くかけて走ってきます。信号に捕まるなどで、少し遅れて交差点に進入すると、ほかの2便と同時に交差点へ進入するのです。

 三井さんは、3つ目の便である後免町発桟橋車庫行きで毎朝通勤していたため気づかなかったそうで、まさに「灯台下暗し」だったと話します。この現象が見られるのは、平日のみ月に数回程度。雨だとスムーズに運行できないことが多く、遭遇率が低いとのことです。また、2018年8月には10回以上見られたのが、同年9月は2回程度と、見られるかどうかはまさに「運頼み」なのだとか。

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はりまや橋交差点。線路が直角に平面交差し、かつ4方向の渡り線を備える(画像:とさでん交通)。

 トリプルクロスで注目したいのは、上空に幾何学模様のように張り巡らされた架線(電線)と、それを揺らしながら走る電車の音。3両がいっせいに「ギィーッ」とフランジ音(レールと車輪が摩擦できしむ音)を鳴らしながら走るさまは、なかなか見られるものではありません。

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コメント

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1件のコメント

  1. > 交通機関の発達した日本でないとこの現象は成立しない

    交通機関が発達しすぎると併用軌道は淘汰されるわけで、線路は平行に並ぶか立体交差化し、直角ダイヤモンドクロスもありえない。
    そう考えると「交通機関の発達した日本の中で未発達のまま残ったため生じた現象」といえそうです。