戦車と対戦車兵器の100年 人はいかに戦車装甲へ挑み、またこれを跳ね返してきたのか(写真12枚)

戦車100年の歴史はまた、戦車装甲と対戦車兵器のいたちごっこが繰り返された100年間でもありました。その歴史を解説します。

最新の装甲と対戦車ロケット

 東西冷戦たけなわの時代になると、戦車の装甲にも変化が起こってきました。技術の発展により生まれたのが複合装甲や爆発反応装甲です。

「複合装甲」とは、装甲鋼板の間にチタンやセラミックなどさまざまな素材を挟み込んで強化したもの、「爆発反応装甲」は、敵の弾が当たった瞬間に外側に向けて爆発する装甲を外壁に張り付けることで、敵の砲弾の威力を殺してしまうというものです。また10式戦車などにも採用されている「モジュール装甲」は、内部を空洞にして敵砲弾の威力を殺すほか、破損部分だけを取り換えられる整備効率の良さなども考えられた最新の装甲です。

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チェコスロバキアで解体されたT-72の車体前部装甲板。4枚重なった状態で、各々の中の白い部分が複合装甲のセラミック素材(画像:月刊PANZER編集部)。
台湾陸軍のCM-11戦車。奥の車両は増加装甲無しなのに対して、手前の車両は爆発反応装甲を増設している(画像:月刊PANZER編集部)。
RPG-7対戦車ロケットの射撃訓練を受けるアメリカ陸軍兵士。隣で弾頭を持っているのはインストラクター役のブルガリア軍兵士(画像:アメリカ欧州軍)。

 こうした装甲の発展により対戦車兵器は歯が立たず廃れていくかと思われました。しかし、そちらも独自の発展を続けていきます。

 無反動砲やロケットランチャーに続き、開発されたのが対戦車ミサイルです。ミサイルとは、日本語では「誘導弾」と呼ばれ、目標に向かって自ら飛翔していく兵器の総称です。高い命中精度と安全性を誇る対戦車ミサイルは、そのまま対戦車砲の主役になっていくかと思われました。しかし、そうはなりませんでした。

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最新の赤外線画像誘導方式により優れた命中精度を誇る01式軽対戦車誘導弾(画像:陸上自衛隊)。

 1991(平成3)年の湾岸戦争ごろまでの大戦車戦は、現在ではほとんど行われることはなく、市街戦を中心としたゲリラ戦が数多く行われるようになっています。こうした場合、遭遇戦が多く、また距離は至近で速射性が求められるようになります。このような戦いでは、敵の位置を正確に入力してからでないと撃つことのできない対戦車ミサイルは不利で、目視で構えてすぐに発射できる対戦車ロケットなどが有利に働きます。また、ミサイルはどうしてもコストが高く、通常の無反動砲や対戦車ロケットのほうが、使いやすいという面もあります。

 現在、対戦車兵器として主力になっている無反動砲や対戦車ロケット、対戦車ミサイルという3つの兵器。今後もそのシチュエーションに合わせて、さまざまに使い分けられていくことになるのでしょう。

【了】

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