米×サウジが切っても切れないワケ 記者殺害で浮かび上がる両国の複雑な関係とは?

トルコのサウジアラビア領事館における記者殺害をめぐり、トランプ米大統領が激しい憤りを見せるなど、米×サウジ情勢が揺れ動いています。両国間の、武器輸出などを通した切っても切れない複雑な関係について解説します。

サウジの記者殺害、アメリカ政府の反応は

 2018年10月、トルコのサウジアラビア総領事館で発生した殺人事件に世界の注目が集まっています。サウジアラビア王家に対して批判的な報道を行ってきたジャーナルのジャマル・カショギ氏が、トルコの首都アンカラにあるサウジアラビアの総領事館を訪れたのを最後に行方不明となり、その後サウジアラビア政府関係者によって総領事館内で計画的に殺害されていたことが明らかとなりました。そして、この殺人事件をめぐって複雑な立場に置かれているのが、サウジアラビアと深いつながりを持つアメリカです。

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アメリカ空軍のKC-135から空中給油を受けるサウジアラビア空軍のF-15(画像:アメリカ空軍)。

 アメリカ政府は、カショギ氏殺害事件自体に関しては非常に強い言葉でこれを批判しています。たとえば2018年10月23日に行われたイベントで、カショギ氏の殺害に関するコメントを求められたアメリカのペンス副大統領は「トルコのサウジアラビア領事館でおきたジャマル・カショギ氏の残虐な殺害は、彼の家族、愛する人、(カショギ氏が記事を掲載していた)ワシントンポストの同僚にとっては悲劇だった」と述べたうえで、この殺人事件を「自由で独立した報道に対する攻撃」として強く非難しました。また、カショギ氏殺害に関して、アメリカを含むG7(先進7か国/アメリカ、カナダ、日本、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア)の外務大臣が「ジャーナリストのジャマル・カショギ氏の殺害を最も強い言葉で非難する」という共同声明を発出しています。

 しかし、その一方で事件に関与したとされるサウジアラビアに関して、アメリカのペンス副大統領は先述したイベントにおいて、アメリカとサウジアラビアは「この地域における非常に重要な同盟関係」にあるとしたうえで、トランプ政権においてはその関係が特に深化していることを強調するなど、カショギ氏殺害事件とサウジアラビアとの関係とを切り分けて説明しているようにみえます。じつは、これにはアメリカとサウジアラビアとの間にある深いつながりが関係しているようです。

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