テントのお風呂、給排水どうしてる? ほか災害派遣における陸自入浴支援の舞台裏とは(写真20枚)

災害派遣における被災者への入浴支援として、陸自の「野外入浴セット」はしばしば報道などで目にしますが、断水地域で水はどう確保するのでしょうか。入浴支援の舞台裏をのぞくと、自衛隊にしかできないサービスなことがよくわかります。

なぜ自治体にはこうした入浴支援が無理なのか?

 この「野外入浴セット」を開設、維持管理するのは、担当部隊の自衛官7名程度で、入浴所開設までには平均で6時間程度の準備時間が必要だともいわれています。

Large 20181124 01 Large 20181124 02 Large 20181124 03
     
ボイラーに給水するために10t貯水タンクにホースを接続する隊員(矢作真弓撮影)。
10t貯水タンクに清潔な水を供給する5t水タンク車とそれを操作する隊員(矢作真弓撮影)。
開設に向けて浴槽にお湯を溜める。浴槽脇にはシャワーも完備(矢作真弓撮影)。

 こうした表に出る行動以外にも、入浴所を撤収して部隊に帰ってからの整備も大変です。大型の装備品のため清掃も大変で備品も多く、それらを保管しておく大型の倉庫も必要です。

 ほかにも、これらの備品を持ち出す大型トラックも必要で、そのトラックを運転するための運転手には大型自動車運転免許とけん引免許も必要になります。また、給水に必要な大型水タンク車や、燃料運搬のためのトラック、その燃料を蓄えておく施設も必要になるなど、様々な点において自治体で保有するのが難しいと考えられる理由が挙げられます。

 なお、使用する水は水タンク車などによって給水されるほか、場所によっては自治体が管理する水道を使用することもあります。つまり基本的に現地調達なのですが、もし断水の影響で水道水が使えない場合は、水道が使える最寄り駐屯地や協定を組んでいる農協などの取水場などから調達してきます。また排水に関しては、事前に各自治体と調整をして、あらかじめ下水などが使用できる場所を確保し、その場所に入浴所を展開しているとのことでした。

Large 20181124 04 Large 20181124 05 Large 20181124 06
     
野外入浴セット内の脱衣所の様子。奥には浴槽が確認できる(矢作真弓撮影)。
入浴前後に使用できる休憩室には、ストーブや支援物資のカップ麺などが置かれている(矢作真弓撮影)。
利用者の要望に応じて後から取り付けられた鏡。こういったきめ細やかな支援が利用者に好評(矢作真弓撮影)。

 大規模災害では、全国各地の部隊が「野外入浴セット」を被災地に展開させます。その時には、部隊が置かれた土地の名勝などを名付けた「〇〇の湯」というのれんが掲げられます。この「のれん」は、部隊で用意したものであったり、部隊のOBなどが寄付していたりするそうです。上述のように基本的に水道水で温泉成分も入っていませんが、こうした粋な演出が利用者からは好評で、なかには周辺に展開しているいくつかの入浴施設を巡る利用者もいるそうです。

 大地震や水害などの大規模災害は発生しないのが一番の理想ですが、しかしいつどこで発生するかわかりません。もし、被災してしまったら、ぜひ近くの自衛隊入浴施設に足を運んでください。部隊によっては、自ら移動できない被災者のために、避難所からシャトルバスを運行している場合もあります。

この記事の画像をもっと見る(20枚)

【ミリタリー】急げ、救え! 自衛隊「災害派遣」の現場にせまる!

最新記事

コメント

1件のコメント

  1. 若しかして自衛隊を海外に送りたくない人達ってこういう身の周りの世話をして欲しいだけなのかも

記事ランキング

  1. ロシア軍の戦闘機が「真正面から撃破される瞬間」を捉えた映像が公開 ドローンの突入を防げず
  2. 海自の潜水艦が発射した魚雷が「揚陸艦へ突進」 雷跡を上空から捉えた珍しい写真が公開される
  3. 片山さつき大臣「実態調査はじめます」 街のクルマ屋の「保険代理店打ち切り」問題に新局面 ビッグモーター事件の余波に再び切り込む!
  4. 「海自最大の護衛艦」と「世界最大級の軍艦」が洋上で並んだ! 圧巻の編隊航行を上空から捉えたショットが公開
  5. 海自艦がロシア海軍の「超静かな潜水艦」を確認!浮上航行する姿を捉えた画像を防衛省が公開
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  3. ロシア軍の戦闘機が「真正面から撃破される瞬間」を捉えた映像が公開 ドローンの突入を防げず
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開