駅ナカ「シェアオフィス」、鉄道会社の新たなビジネスに? 各社で導入相次ぐワケ(写真16枚)

鉄道事業は縮小へ シェアオフィスは減益を補うか?

 JR東日本では今回の1人用「ステーションブース」のほか、将来的にはひとつの空間に配置された複数のデスクを不特定多数の人が利用する「ステーションデスク」、会議利用などを想定してオフィス単位で貸し出す「ステーションオフィス」も、駅構内や駅ビルなどに導入する予定です。

「『働き方改革』や生産性の向上といった社会課題を解決する駅ナカの新しいサービスとして、『シェアオフィス』事業を迅速に展開していきます」(JR東日本 表さん)

 導入を進める背景には、将来的に鉄道事業の収益減が見込まれている、ということがあります。JR東日本は7月に発表したグループ経営ビジョン「変革2027」で、東京圏においても2025年より、緩やかに人口が減少していくと予測。さらに2020年以降、「人口減少のほか、働き方の変化やネット社会の進展、自動運転技術の実用化等により、鉄道による移動ニーズが縮小し、(中略)急激に利益が圧迫されるリスクが高い」としています。

 このため、JR東日本は生活サービスなど鉄道以外の事業分野を強化しており、「輸送サービス」と「生活サービス・IT・Suicaサービス」で7対3(2017年度)の収益構造を、2027年ごろまでに6対4とすることを目指してます。駅を中心とした生活サービスにおいては、地域住民向けや旅行者向けのほか、オフィスワーカー向けのサービスをひとつの柱に位置付け、そのなかで目玉となる事業のひとつがシェアオフィス事業だそうです。

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法人向けの「ビジネス」ブースと、個人向けの「パーソナル」ブースがある。設備内容は同じ。
シェアオフィス事業について説明するJR東日本 事業創造本部 副本部長の表 輝幸さん
「ステーションブース」の利用イメージ。

 ほかの鉄道会社でも、このような駅を中心としたシェアオフィス事業を相次いで展開しています。東京メトロは6月から南北線の溜池山王駅、千代田線の北千住駅構内でブース型の「サテライトオフィスサービス」の実証実験を開始。10月には京王電鉄が京王多摩センター駅直結の京王プラザホテル多摩(東京都多摩市)内にシェアオフィス施設を開設しました。

 東京メトロでは10月から、新たに東西線葛西駅と新宿野村ビル1階エントランスにもブースを設け、利用料金も無料から15分200円(税別)に切り替えています。12月28日(金)をもって実証実験を終了しますが、既設のブースは引き続き営業し、利用状況を踏まえて新たな設置個所を検討していくそうです。

 なおJR東日本が今回、東京、新宿、品川の3駅で行う実証実験では、「ステーションブース」の利用は無料。料金体系は今後決めていくとのこと。ちなみに、「ステーションワーク」の会員登録は11月19日(月)の開始後1週間で1000近くとのことで、JR東日本の表さんは「予想以上の反応」と話します。

【了】

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コメント

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1件のコメント

  1. 東京大阪など大都市だけでなく「地方」であるJR九州筑豊本線二島駅も 駅舎を貸事務所(貸事業所)として活用する動きもありますね。

    富山の「お団子と串」、つまり駅周辺に都市機能を集める都市・交通政策を 鉄道事業者が行える範囲で行なうような 取り組みもうまく行けばよいなと思います。 JR北海道の駅も。残念ながら廃止路線になっても廃止路線の駅舎を活用することが出来れば・・・