線路も走れる旧日本軍の秘密兵器! どう見ても戦車な九五式装甲軌道車なぜ作られた?

地面はもちろん線路も走れる、見た目はほぼ戦車の「九五式装甲軌道車」は、なぜ作られたのでしょうか。鉄道の重要性が現代よりはるかに高かった昭和初期の、“撮影禁止の秘密兵器”だったそうですが、当時の写真もあります。

撮影禁止の秘密兵器!

 この九五式装甲軌道車は工兵出身である深山少佐のアイデアとされており、工兵装備として東京瓦斯電気工業社で開発が始まりましたが、当初は設計図のみで実車の製作は不可能なのではないかといわれるくらい難航したそうです。それでも1935(昭和10)年に完成し、採用にこぎつけました。秘密兵器の指定を受け撮影禁止だったのですが、工兵用器材は秘密指定されたものが多く、この九五式装甲軌道車だけが特別な秘密兵器だったというわけではありません。

 線路走行用の4つの鉄輪は、狭軌1000mmから当時のロシア広軌である1524mmゲージ(線路の幅)まで、車輪の幅を自由に変えることができました。線路から路上に降りるには、乗員が車外に出ることなく1名で操作でき、動力を鉄輪から覆帯に切り替えて1分で路上走行が可能でした。この迅速性と柔軟性が本車の最大の武器であり、線路上なら最高70km/hの高速で移動できました。路上を走る戦車には、こんな高速はとても出せません。味方への応援にもすぐ駆けつけられます。

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九五式装甲軌道車の側面。小さな転輪を多く並べるのは当時の戦車に見られる特徴(画像:月刊PANZER編集部)。
九五式装甲軌道車の後部には連結器がある(画像:クビンカ戦車博物館)。
陸上自衛隊の16式機動戦闘車(画像:月刊PANZER編集部)。

 陸上自衛隊が配備を進めている16式機動戦闘車は、道路を高速移動して目的地に早く駆けつけられるのが特徴ですが、九五式も線路を使って高速移動できることが強みでした。線路破壊を目論むようなゲリラの武装は、ぜいぜい小銃を持っている程度でまともに対戦車戦闘はできません。線路から戦車が追いかけてきたら、もう逃げ出すしかありません。

 ちなみに路上から線路に戻るには鉄輪を線路上へ正確に載せるため、車外からの誘導が必要ですが、慣れれば3分程度で済んだといわれます。

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