海自が飛行機を飛ばすワケ 厚木基地P-1保有の航空隊司令に聞く「日本の海の守りかた」

そもそもなぜ海自に航空部隊が?

 一方でP-3CやP-1は、大型機ゆえに滞空時間が長いといってもせいぜい10時間程度ですから、艦艇のように同じ海域に数日間とどまることはできません。そこで哨戒機は、艦艇とそれぞれの長所を生かした連携が必要となり、そしてそれが哨戒機という航空機を、「航空」自衛隊ではなく「海上」自衛隊が運用する理由にもなっていると、藤澤司令は言います。

「海上自衛隊というと、船と潜水艦しか持っていないイメージになろうかと思いますが、陸海空自衛隊は活動するエリアに応じて分けていると考えてください。P-1にはレーダーも積んでおり、自身を防御するための防御装置も取り付けていますから空中の警戒監視もできます。ですが有事に関して言えば、基本的に空からの脅威、つまり航空機の相手は戦闘機を持っている航空自衛隊が対応し、航空自衛隊が空をクリアにし安全確保した状態で、海からの脅威に関してはそれが水上の船であろうと水中の潜水艦であろうと、海上自衛隊が担うのが適当だろうという理由から、それに適した哨戒機を(海上自衛隊の)航空部隊において運用しています」

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インタビューに応じる藤澤司令(2018年12月7日、関 賢太郎撮影)。

 島国である日本は、「領海」および海中・海底資源などの主権がおよぶ「排他的経済水域」の合計面積は448万平方キロメートルと、領土面積の10倍以上になります。また、様々な対外物資流通のほとんどを海運に頼っています。

 海上自衛隊ではこれまで、P-3Cを派生型含め107機、調達しました。現在、生産が進むP-1が何機、調達されるかは現在のところ不明ですが、2017年の時点では約70機を取得するとして、コストの見積もりが行われています。今後は無人哨戒機の導入などによって、計画が見直される可能性も十分にありますが、いずれにせよ海上自衛隊における哨戒機重視の姿勢が変化することは無いでしょう。

【了】

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コメント

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2件のコメント

  1. 大変ためになりました!
    海に囲まれた日本にとって哨戒機は重要なのですね!

  2. 冷戦たけなわの頃はP-3Cのみ約100機だったそうですが、配備数は減っても性能の向上で哨戒探知能力は向上しているのでしょうね。

    少子化で自衛隊も人手不足。取り分け海上自衛隊は任務が厳しいので志願者が少ないそうです。

    PKO等の海外での活動も増加しますから、外人部隊の創設も検討すべきかも知れません。

    しかし、やはり福利厚生を充実させる事により、先ずは日本人の志願者を増やすべきでしょう。