九州新幹線で本格復活? 「幻の貨物新幹線」中止後もあった新幹線の郵便、貨物輸送計画

0系改造の「郵便列車」も計画された

 1964(昭和39)年に東海道新幹線が開業。この時点では旅客列車しか走っていませんでしたが、貨物ターミナルの予定地に延びる線路が営業用の線路をまたげるよう、高架橋をあらかじめ2層式で建設しておくなど、貨物列車の運転に備えられていました。

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「新幹線貨物輸送」に対応した2層式高架橋の遺構(2016年7月、恵 知仁撮影)。

 しかし、利用者数が予想を大きく上回り、旅客列車の本数も大幅に増加。列車が増えれば増えるほど、線路も傷みやすくなってしまいます。そのため、本来は貨物列車が走るはずだった深夜帯はメンテナンスを行うことに。ほかにも資金不足などの問題があったとされ、貨物列車の計画は事実上中止に追い込まれたのです。

 こうして幻に終わったはずの新幹線貨物輸送でしたが、1980年代には旅客列車を使った小規模な貨物輸送が考えられるようになりました。

 まず1981(昭和56)年、比較的軽くて小さな荷物を旅客列車に載せて運ぶ「レールゴーサービス」が東海道新幹線で始まりました。重要書類などを迅速に運べるというメリットがあり、記者(草町義和:鉄道ライター)も1990年代には大阪在住のカメラマンと写真(ポジフィルム)をやり取りするため、「レールゴーサービス」を何度か使ったことがあります。

 また1982(昭和57)年には、郵政省(現在の総務省と日本郵政グループ)が国鉄に対し、新幹線を使った郵便列車の運行を提案しました。これは当時の東海道・山陽新幹線で運行されていた0系電車を改造し、郵便物を運ぶための専用かご(パレット)を車内に搭載して郵便物を運ぶというもの。当面は東京~新大阪間で4両編成の郵便列車を1日2往復運転し、将来的には東京~博多間でも運行するという想定でした。ただ、パレットの積み卸し設備をどう整備するかなどの問題があり、実現しませんでした。

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コメント

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4件のコメント

  1. 新幹線やブルートレインも、20年位前から既に新聞や雑誌の類は積んでいた。
    駅のコンビニの商品何かも、地下鉄の電車に積んで運んでる。
    千葉県では両国旧ホームから発車する新聞列車や、旅客車両の一角を間仕切りして荷物スペースにする列車も結構有る。
    京成には行商専用車両が早朝に設定されていた。
    最近話題になった北越急行が例とされているが、銚子電鉄でもかなり前から濡れ煎餅とか運んでた。
    運送会社と提携してするのは最近だろうが、割と小さい貨物の輸送は細々と続いていた。
    空港連絡列車の類は大荷物を持った人に配慮出来ている様に、全ての路線でベビーカーや車椅子ばかり過剰優遇せずに、公平にキャリーバッグも同等に扱って欲しい。

  2. 博多~熊本~鹿児島とそれなりの人口を擁する鹿児島ルートですら空気輸送を憂慮して貨客混載を検討する状況となると長崎ルートは一段とどうするつもりなのでしょう。

  3. 繁忙期でも確実に混載出来るような仕組みを作らないと

  4. パレット(所謂カーゴテナー)をプラットホームに移動させるためのエレベーターとその基部横に集積コーナーが必要でさらにその集積コーナーはトラックで横づけか尻づけできるプラットホーム式にしないといけないんだけど対応できるのかね?パワーゲート使うと積み下ろしに時間がかかるし転倒事故のリスクもある。

    だいたい昔と違って高速道路の整備が進んだ今、需要はあるのか?
    モーダルシフトに寄与するレベルにはないと思うんだけど。