ロシア軍機また死亡事故、墜ちたTu-22Mは米露軍縮の政治的「例外」…どんな飛行機?

Su-34戦闘爆撃機に続き、死亡事故を起こしたTu-22M爆撃機は、米露の政治的駆け引きでやり玉に挙げられるほど高性能で、核攻撃も可能ですが、軍縮条約の「例外」扱いだそうです。どういうことでしょうか。

Tu-22Mは「非常に微妙な存在」

 2019年現在、米露間において有効とされる、2011(平成23)年発効の「新戦略兵器削減条約(New START)」では、核弾頭と運搬手段の保有数に制限が設けられており、重爆撃機+大陸間弾道ミサイル(ICBM)+潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の合計が700機/基以内(非配備含め800機/基以内)、核弾頭数1550発以内とされています。

 このうち「重爆撃機(Heavy Bomber)」は「空中給油無し、かつ、7500kgの兵装を搭載した状態で航続距離8000km以上を有し、射程600km以上の核弾頭搭載空中発射型巡航ミサイルを搭載する爆撃機」と定義されていますが、さらに「米露両国が合意した場合に限り、その爆撃機は重爆撃機と見なされない」という例外が設けられています。

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ツポレフTu-95MS「ベア」重爆撃機。世界最速のプロペラ機であり、ロシア最大の爆撃機。42機が配備中。哨戒機型にTu-142がある(関 賢太郎撮影)。

 そして「重爆撃機」に該当する具体的な機種も明記され、アメリカの「B-52G、B-52H、B-1B、B-2A」、ロシアの「Tu-95MS、Tu-160」であるとされています。なお、核兵器搭載能力を封印することによって「重爆撃機」の対象外と見なすことも可能であり、すべてのB-1B「ランサー」と半数以上のB-52H「ストラトフォートレス」は通常の爆撃機となっています。またB-52Gは全機退役済みです。

「戦略兵器削減条約」締結交渉において、Tu-22Mは非常に微妙な存在でした。ソ連はTu-22Mを「中爆撃機」であると主張し、一方アメリカは「重爆撃機」と見なそうとしました。両国の折衝の結果、「第一次戦略兵器削減条約」には「バックファイア宣言」が盛り込まれ、Tu-22Mを「重爆撃機」と見なさい例外として指定されることとなります。

「バックファイア宣言」の要旨は3つ。第1に「ソ連はTu-22Mに対して、空中給油を含むいかなる方法であっても大陸間飛行能力を与えない」、第2に「空軍配備機は300機未満とする」、第3に「海軍配備機は200機未満とする」というものであり、現在配備中のTu-22M3からは、すべての空中給油装置が排除され、航続距離も6800kmに制限されています。

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