ロシア軍機また死亡事故、墜ちたTu-22Mは米露軍縮の政治的「例外」…どんな飛行機?

Su-34戦闘爆撃機に続き、死亡事故を起こしたTu-22M爆撃機は、米露の政治的駆け引きでやり玉に挙げられるほど高性能で、核攻撃も可能ですが、軍縮条約の「例外」扱いだそうです。どういうことでしょうか。

ロシア軍機、立て続けに死亡事故

 ロシア国防省は、2019年1月22日(火)にツポレフTu-22M「バックファイア」爆撃機が、ロシア北西部のムルマンスク州にあるオレニヤ海軍航空基地において、着陸に失敗したことを発表しました。また事故当時、オレニヤ飛行場の天気は吹雪であり、着陸失敗は悪天候が原因だった可能性を示唆。乗員4名のうち3名の殉職が確認されています。

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ツポレフTu-22M3「バックファイア」爆撃機。航続距離制限が設けられているが、60機以上が運用され、爆撃機の主力を担っている(関 賢太郎撮影)。

 ロシア空軍では、そのわずか4日前の1月18日(金)、Su-34戦闘爆撃機2機が日本海上空において空中衝突し、墜落したばかり。同空軍は貴重な爆撃機と人員を立て続けに失ってしまいました。

 ただ空中衝突したSu-34と着陸失敗したTu-22Mでは状況が異なるため、両事故の直接的な関連性はおそらく無いでしょう。

 Tu-22Mは可変後退翼を持ち、超音速飛行能力と核攻撃能力を持った、非常に高性能な機体です。能力的には「重爆撃機(戦略爆撃機)」と呼称するに十分であるといえますが、その一方で政治的な理由から、Tu-22Mは「重爆撃機」ではないとされています。

 この複雑な事情は、1991(平成3)年にアメリカとソ連(当時)のあいだで結ばれ、後にロシアへも引き継がれた、「(第一次)戦略兵器削減条約(START I)」に由来します。

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