スタッドレスタイヤはなぜ滑りにくいのか その開発の難しさ 滑りやすい日本の凍結路面

水で滑るなら、水を除去すればいいじゃない…というわけで

 そのため日本では、気温0度前後で水の膜ができているアイスバーンでも、確かなグリップ力を発揮するスタッドレスタイヤが開発され、高い人気を誇っています。世界的には、スタッドレスタイヤを愛用する地域は、意外に少数派なのです。

Large 190208 yoko 02 Large 190208 yoko 03 Large 190208 yoko 04

拡大画像

拡大画像

氷上制動距離の比較。上は市販品、下が給水剤3倍のスペシャルタイヤ(画像:横浜ゴム)。
吸水剤を多く含んだタイヤ(下)は、コーナリングでも大きなグリップを発揮。自在なコントロール性を見せてくれた(画像:横浜ゴム)。
「新マイクロ吸水バルーン」がアイスバーン表面の水をとらえるイメージ図。(画像:横浜ゴム)。

 日本のスタッドレスタイヤは、アイスバーン表面の水をいかに除去できるかに性能がかかっており、各メーカーはそのための技術開発に余念がありません。横浜ゴムの場合はタイヤのゴムのなかに、水を吸収するゲル状の「エボ吸水ホワイトゲル」と、樹脂製で中空になった「新マイクロ吸水バルーン」を混ぜて、タイヤ表面から路面の水を吸い上げます。

「新マイクロ吸水バルーン」は、ゴム内では球体のままですが、タイヤ表面に露出すると削られて、水を吸収できる半球のスペースとなります。この「エボ吸水ホワイトゲル」と「新マイクロ吸水バルーン」が、前出の、いわゆる「吸水剤」にあたります。

 ただし、「エボ吸水ホワイトゲル」はゲル(流動性はないが高い粘性を持つ固体状のもの)なので、たくさん配合するとゴム自体の剛性が落ちてしまいます。そうなると走行性能が悪化するため、なかなか配合の割合を増やせません。

この記事の画像をもっと見る(6枚)

テーマ特集「【タイヤ特集】交換時期からメンテナンス方法までクルマのタイヤを徹底解説 購入・交換時に役立つタイヤチェーンやパンク対策情報も」へ

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

1件のコメント

  1. 駆動輪で操舵する前輪駆動が蔓延してる時世だから開発も難儀するだろうね