海底に眠る米空母「ホーネット」の太平洋戦争 世論を変えた「ドーリットル空襲」母艦

アメリカの空母「ホーネット」は、就役わずか1年で沈んだ第2次世界大戦期の艦艇です。しかしその1年のあいだに、映画にも描かれた「ドーリットル空襲」へ参加。日本にも縁深い艦の、短くも濃い1年を追います。

無謀な片道切符「ドーリットル空襲」はなぜ実施された?

 アメリカは世論で動く国です。緒戦で連敗を続けて国民に厭戦気分が広がれば、不利な条件で日本と早期講和ということになりかねません。これをなんとしても避けたいアメリカ政府、軍部は、国民の士気を鼓舞できるような勝利を挙げる必要があります。そこで発案されたのが、日本本土空襲作戦でした。そのわずか2年後には、アメリカ軍機は日本の空を制することになるのですが、この段階では、日本本土は不可侵だと思われていました。

 艦載機ではなく、足の長い双発の爆撃機を空母で運び日本を奇襲、爆撃機は空母に戻らず、中国大陸に退避するという「片道攻撃」が計画されます。生還できる確率の低い作戦ですが、アメリカはそれだけ追い詰められていたといえるかもしれません。こうして編成されたのが、ジミー・ドーリットル中佐の指揮する「ドーリットル爆撃隊」です。爆撃隊を運ぶ「ホーネット」を含む艦隊も日本の哨戒網に飛び込んでいくわけですが、乗員の士気は高かったそうです。

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「ホーネット」飛行甲板上に並べられたB-25爆撃機(画像:アメリカ海軍)。
「ホーネット」から日本空襲へ発艦するB-25爆撃機(画像:アメリカ海軍)。
ジミー・ドーリットル中佐(左)と「ホーネット」艦長マーク・ミッチャー大佐(画像:アメリカ海軍)。

 4月18日早朝、ドーリットル爆撃隊を輸送していた「ホーネット」を含む艦隊は、先に述べたように、日本の特設監視艇(徴用された漁船)に発見されてしまいます。このため同隊のB-25は、爆撃後、中国大陸までギリギリたどり着ける位置で発進します。16機全機の発進には約1時間を要し、すぐさま「ホーネット」は反転、1週間後の4月25日にハワイの真珠湾へ帰投します。ドーリットル爆撃隊は日本への投弾という目的を達成し、アメリカ軍による日本本土初空襲は大々的に宣伝されますが、作戦詳細は1年間秘密とされ、「ホーネット」の武勲もお預けとなります。

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