「鉄道廃止」乗り越え、震災から8年 岩手のJRローカル線が三陸鉄道として再出発のワケ
東日本大震災で大きな被害を受けたJR山田線の宮古~釜石間が、8年を経てついに運転を再開します。しかし、ここで再開に向けた訓練を行っているのはJR東日本ではなく、三陸鉄道の運転士。そこには復旧まで8年を要した理由があります。
敷き直された線路、新しい駅舎や橋
東日本大震災で被災した岩手のローカル線が2019年3月、8年ぶりに運転を再開します。
三陸海岸沿いを行く、JR東日本 山田線の宮古~釜石間。再開に向けた試運転列車が2月11日(月・祝)、報道陣に公開されました。
このたび取材した試運転列車は午前9時40分ごろ、宮古駅(岩手県宮古市)を発車。先頭からは、復旧工事で敷き直された線路や、新たに整備された駅舎、ホームなどがよく見えます。宮古駅を出発した直後に通った第34閉伊川橋りょうは、津波で橋桁が流失して橋脚も一部損傷。橋脚を修復したうえで、新しい橋桁に架け替えられました。
車窓には田畑が広がっていますが、津波に襲われた場所では空き地が目立ち、そのなかに新しい民家がポツポツと建っています。震災から8年が経過したものの、復興は依然として「道半ば」に見えました。
このJR山田線の試運転列車に使われた車両は、JRのものではなく、三陸鉄道の36-700形ディーゼルカーです。運転も、三陸鉄道の社員が行っています。
三陸鉄道は、北リアス線(宮古~久慈)と南リアス線(盛~釜石)という、JR山田線に接続する2路線を運営している第三セクターの鉄道会社です。
実はここに、JR山田線の宮古~釜石間が、震災による不通から復旧までに8年かかった事情が隠されています。
石巻線や大船渡線のBRT転換区間も三陸鉄道として一体化して復活すればよかったんじゃないの?
やはり鉄道とバスでは違いすぎる。
三セク転換は地元自治体が赤字を補填することが前提ですから、自治体・住民ともによほどの覚悟がなければできませんよ。そもそも復旧しても乗る人が増える見込みがないから地元もBRTに同意されたわけで。
(三陸鉄道の株主でもないエリアまで面倒見る義理もないでしょうし)
お客からしたらそりゃ鉄道があるに越したことはないですけどね。
気仙沼近辺まではともかく、岩手県内の「陸前高田」まで、盛から20キロほどを鉄道で復旧したら、岩手県としての陸の孤島が解消できる。途中の停留所の多いBRTも少し遅いけれど定着はしてきているので、これと併用して、一部併用軌道(最高速度40キロ)もあっていい。鉄道駅を復活させるのは陸前高田と碁石海岸口、大船渡とあと2駅くらい。これで釜石までの快速運転を1日5~6本、場合によっては一部(2本くらい?)釜石線に乗り入れ、遠野直結、新花巻で新幹線接続、花巻経由盛岡行きとかできれば、三陸鉄道全体の活性化の起爆剤に化けるかもしれない。
高田より南は、宮城県の協力や出資次第。この企画とで集客(特に外部からの)が増えるようなら、JR含め乗り気になるかもしれない。
釜石から宮古までバスで移動したけれど、津波の被害の爪痕はいまだにすごい。 鉄道から見る景色は標高が低いだけによりリアリティがあるだろう。 ひとりでも多くの人が乗って、窓から駅から目で見て実感することを願う。 陸中山田駅では駅を降りて、今見える海を眺めて見よう。
三陸は景勝地も多く、観光資源はたくさんあるが、三鉄の各駅からのアクセスがすこぶる悪い。
地元民には便利だが、少子高齢化で利用者の増加も見込めないだろう。
観光客に利用してもらうためには各観光地へのアクセスの充実(オンデマンドでもいいから乗り合いタクシーなど)や沿線の路線バス・コミュニティバスを含めたフリーパスなど、利用しやすい環境を整えていただきたい。
三陸鉄道は、北リアス線が開通したとき以降の動きを見ると、JR山田線と違い、その地域内の輸送に徹していた、というよりも、特に東北新幹線開業を受けての、観光需要の増加に大きく貢献してきたように思えます。その後低迷したのは、JRの接続等の問題がかなりあるのではとも言えます。
8年ぶり、そして山田線改め、新生三陸鉄道リアス線で163キロですから、おそらく、ここでいろいろな企画をぶつけることで、数年間は開通需要がかなり見込まれ、地域の人口減の圧縮(場合によっては多少の増加にも)つながるかもしれません。少なくとも沿線には多数の観光ポイントもあり活性化は期待できます。
ほしいのは、JRからイベント車両を借りてもいいので、久慈~宮古~釜石の快速運転列車の運転や、盛岡~宮古~釜石~新花巻などで直通列車が1日2本くらいあると、新しい動きも見えるかもしれません。