「鉄道廃止」乗り越え、震災から8年 岩手のJRローカル線が三陸鉄道として再出発のワケ

東日本大震災で大きな被害を受けたJR山田線の宮古~釜石間が、8年を経てついに運転を再開します。しかし、ここで再開に向けた訓練を行っているのはJR東日本ではなく、三陸鉄道の運転士。そこには復旧まで8年を要した理由があります。

「鉄道廃止」の可能性も 震災以外にもある課題

 山田線は、岩手県内の盛岡~宮古~釜石間157.5kmを結ぶ、JR東日本のローカル線です。そのうち太平洋に面した三陸海岸沿いの宮古~釜石間55.4kmは、2011(平成23)年3月に発生した東日本大震災で、特に大きな被害が発生。その約4割(22.7km)が津波で浸水し、線路の約1割と4つの駅、橋りょうや盛り土など16か所が流失しました。

 この復旧にあたり、JR東日本は鉄道ではなく、バスへの転換を模索します。

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橋桁が流失した第34閉伊川橋りょう(2019年2月11日、草町義和撮影)。

 その理由は、おもにふたつ。ひとつは被害が非常に大きく、復旧に膨大な費用がかかること。復旧費は総額で210億円と試算されました。国や自治体が復旧のための補助金を出す制度はあるものの、当時の補助制度では、JR東日本のような黒字経営の鉄道事業者は、補助金を受けることができませんでした。

 もうひとつは利用者数です。山田線は震災前から沿線の過疎化と道路の整備により、利用者が減少し続けていました。1日1km平均の利用者数(輸送密度)で見た場合、宮古~釜石間はJR東日本が発足した1987(昭和62)年度は1719人でしたが、震災前の2009(平成21)年度は713人。およそ20年で6割も減っています。仮に膨大な費用をかけて復旧したとしても、利用者が減り続ければ運賃収入も減るわけで、いずれ路線を維持するのが難しくなります。

 そこでJR東日本は、鉄道より低コストな交通機関の導入を検討。線路敷地をバス専用道として整備し直し、そこにバスを走らせる方式(バス高速輸送システム=BRT)への転換を沿線自治体に提案しました。実際に震災で大きな被害のあったJR東日本の路線のうち、宮城の気仙沼線と、宮城・岩手の大船渡線で、一部の区間がBRT化されています。

 しかし、山田線の沿線自治体は鉄道より遅く所要時間が長くなるなどとして、強く反発。協議は難航しました。そこでJR東日本は2014(平成26)年、BRT案に代わって三陸鉄道への移管案を示します。

【写真】ついに復活する列車・駅・車窓!

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コメント

6件のコメント

  1. 石巻線や大船渡線のBRT転換区間も三陸鉄道として一体化して復活すればよかったんじゃないの?

    やはり鉄道とバスでは違いすぎる。

    • 三セク転換は地元自治体が赤字を補填することが前提ですから、自治体・住民ともによほどの覚悟がなければできませんよ。そもそも復旧しても乗る人が増える見込みがないから地元もBRTに同意されたわけで。

      (三陸鉄道の株主でもないエリアまで面倒見る義理もないでしょうし)

      お客からしたらそりゃ鉄道があるに越したことはないですけどね。

    • 気仙沼近辺まではともかく、岩手県内の「陸前高田」まで、盛から20キロほどを鉄道で復旧したら、岩手県としての陸の孤島が解消できる。途中の停留所の多いBRTも少し遅いけれど定着はしてきているので、これと併用して、一部併用軌道(最高速度40キロ)もあっていい。鉄道駅を復活させるのは陸前高田と碁石海岸口、大船渡とあと2駅くらい。これで釜石までの快速運転を1日5~6本、場合によっては一部(2本くらい?)釜石線に乗り入れ、遠野直結、新花巻で新幹線接続、花巻経由盛岡行きとかできれば、三陸鉄道全体の活性化の起爆剤に化けるかもしれない。

      高田より南は、宮城県の協力や出資次第。この企画とで集客(特に外部からの)が増えるようなら、JR含め乗り気になるかもしれない。

  2. 釜石から宮古までバスで移動したけれど、津波の被害の爪痕はいまだにすごい。 鉄道から見る景色は標高が低いだけによりリアリティがあるだろう。 ひとりでも多くの人が乗って、窓から駅から目で見て実感することを願う。 陸中山田駅では駅を降りて、今見える海を眺めて見よう。

  3. 三陸は景勝地も多く、観光資源はたくさんあるが、三鉄の各駅からのアクセスがすこぶる悪い。

    地元民には便利だが、少子高齢化で利用者の増加も見込めないだろう。

    観光客に利用してもらうためには各観光地へのアクセスの充実(オンデマンドでもいいから乗り合いタクシーなど)や沿線の路線バス・コミュニティバスを含めたフリーパスなど、利用しやすい環境を整えていただきたい。

  4. 三陸鉄道は、北リアス線が開通したとき以降の動きを見ると、JR山田線と違い、その地域内の輸送に徹していた、というよりも、特に東北新幹線開業を受けての、観光需要の増加に大きく貢献してきたように思えます。その後低迷したのは、JRの接続等の問題がかなりあるのではとも言えます。

    8年ぶり、そして山田線改め、新生三陸鉄道リアス線で163キロですから、おそらく、ここでいろいろな企画をぶつけることで、数年間は開通需要がかなり見込まれ、地域の人口減の圧縮(場合によっては多少の増加にも)つながるかもしれません。少なくとも沿線には多数の観光ポイントもあり活性化は期待できます。

    ほしいのは、JRからイベント車両を借りてもいいので、久慈~宮古~釜石の快速運転列車の運転や、盛岡~宮古~釜石~新花巻などで直通列車が1日2本くらいあると、新しい動きも見えるかもしれません。

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