「鉄道廃止」乗り越え、震災から8年 岩手のJRローカル線が三陸鉄道として再出発のワケ

東日本大震災で大きな被害を受けたJR山田線の宮古~釜石間が、8年を経てついに運転を再開します。しかし、ここで再開に向けた訓練を行っているのはJR東日本ではなく、三陸鉄道の運転士。そこには復旧まで8年を要した理由があります。

運行再開、しかし約15%も減少

 三陸鉄道も震災で不通になりましたが、以前から赤字経営だった同社は国や自治体の支援を受け、2014(平成26)年4月までに復旧しました。さらに、沿線自治体が施設の一部を保有して三陸鉄道に無償で貸し付ける「上下分離方式」も導入。これにより施設の維持費を減らし、経営の改善が図られています。

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JR東日本から三陸鉄道の駅になる陸中山田駅(2019年2月11日、草町義和撮影)。

 そして大きな被害を受けたJR山田線の宮古~釜石間も、三陸鉄道の路線とすることで国や自治体の支援を受けながら復旧、上下分離方式も導入し、安定的な経営を目指そうとしたのです。

 JR東日本は三陸鉄道への移管を条件に、復旧費210億円のうち140億円を負担すると表明。沿線自治体も最終的には同意し、震災から4年後の2015年、ようやく復旧工事が始まったのです。

 現在、工事はほぼ完了し、2019年3月23日(土)の運行再開に向けて試運転が続けられています。

 また、三陸鉄道が同区間の運行をJR東日本から引き継ぐのに合わせて、接続する南リアス線と北リアス線を統合。盛~釜石~宮古~久慈間の「リアス線」へ一本化されます。

 しかし、これで山田線改めリアス線の将来が保証されたわけではありません。

 沿線の人口は震災後、大幅に減少。岩手県の統計資料によると、山田線(リアス線)の陸中山田駅がある山田町の場合、2011(平成23)年3月1日が1万8506人だったのに対し、2015年4月1日は1万5696人で、震災前に比べ約15%も減りました。人口が減れば鉄道の利用者も減るわけで、上下分離方式を導入しても、その経営は容易ではないでしょう。

【了】

【写真】ついに復活する列車・駅・車窓!

Writer:

鉄道誌の編集やウェブサイト制作業を経て鉄道ライターに。2020年から鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』所属記者。おもな研究分野は廃線や未成線、鉄道新線の建設や路線計画。鉄道誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)などに寄稿。おもな著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。

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コメント

6件のコメント

  1. 石巻線や大船渡線のBRT転換区間も三陸鉄道として一体化して復活すればよかったんじゃないの?

    やはり鉄道とバスでは違いすぎる。

    • 三セク転換は地元自治体が赤字を補填することが前提ですから、自治体・住民ともによほどの覚悟がなければできませんよ。そもそも復旧しても乗る人が増える見込みがないから地元もBRTに同意されたわけで。

      (三陸鉄道の株主でもないエリアまで面倒見る義理もないでしょうし)

      お客からしたらそりゃ鉄道があるに越したことはないですけどね。

    • 気仙沼近辺まではともかく、岩手県内の「陸前高田」まで、盛から20キロほどを鉄道で復旧したら、岩手県としての陸の孤島が解消できる。途中の停留所の多いBRTも少し遅いけれど定着はしてきているので、これと併用して、一部併用軌道(最高速度40キロ)もあっていい。鉄道駅を復活させるのは陸前高田と碁石海岸口、大船渡とあと2駅くらい。これで釜石までの快速運転を1日5~6本、場合によっては一部(2本くらい?)釜石線に乗り入れ、遠野直結、新花巻で新幹線接続、花巻経由盛岡行きとかできれば、三陸鉄道全体の活性化の起爆剤に化けるかもしれない。

      高田より南は、宮城県の協力や出資次第。この企画とで集客(特に外部からの)が増えるようなら、JR含め乗り気になるかもしれない。

  2. 釜石から宮古までバスで移動したけれど、津波の被害の爪痕はいまだにすごい。 鉄道から見る景色は標高が低いだけによりリアリティがあるだろう。 ひとりでも多くの人が乗って、窓から駅から目で見て実感することを願う。 陸中山田駅では駅を降りて、今見える海を眺めて見よう。

  3. 三陸は景勝地も多く、観光資源はたくさんあるが、三鉄の各駅からのアクセスがすこぶる悪い。

    地元民には便利だが、少子高齢化で利用者の増加も見込めないだろう。

    観光客に利用してもらうためには各観光地へのアクセスの充実(オンデマンドでもいいから乗り合いタクシーなど)や沿線の路線バス・コミュニティバスを含めたフリーパスなど、利用しやすい環境を整えていただきたい。

  4. 三陸鉄道は、北リアス線が開通したとき以降の動きを見ると、JR山田線と違い、その地域内の輸送に徹していた、というよりも、特に東北新幹線開業を受けての、観光需要の増加に大きく貢献してきたように思えます。その後低迷したのは、JRの接続等の問題がかなりあるのではとも言えます。

    8年ぶり、そして山田線改め、新生三陸鉄道リアス線で163キロですから、おそらく、ここでいろいろな企画をぶつけることで、数年間は開通需要がかなり見込まれ、地域の人口減の圧縮(場合によっては多少の増加にも)つながるかもしれません。少なくとも沿線には多数の観光ポイントもあり活性化は期待できます。

    ほしいのは、JRからイベント車両を借りてもいいので、久慈~宮古~釜石の快速運転列車の運転や、盛岡~宮古~釜石~新花巻などで直通列車が1日2本くらいあると、新しい動きも見えるかもしれません。

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